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Ｍiyadate side.
俺の隣で寝息を立てて眠るA
ソファの背もたれに身体を預けるようにして眠る姿
その胸がゆっくりと上下していて、心底安堵した
手近にあったブランケットを引き寄せ、彼女にそっと掛けた
Aがいつの間にか連絡をくれなくなったのは、ここ1ヶ月くらいの話
特に何の予告もなく、俺が夕飯に誘っても断られる回数が増えた
最初はそれに焦っていた
でも、それがやがて違和感に繋がった
彼女の母親からメッセージで彼女の不在を知ったとき、猛烈に後悔した
どうしてあの時って
でもあの時って明確にいつを後悔すれば良いのかも分からなくて
こんな時に弱腰な自分が心底嫌いだ
そんな自分を誤魔化すように、すぐに向かったのは彼女の自宅だった
何度もマンションのエントランスまで足を運んだのに、それ以上先までは踏み入れられなくて
住居人に紛れて足を踏み入れた時はひどくぎこちなかった
部屋番号を確かめて何度もインターホンを鳴らし、高まる焦燥感の中、十数回目の呼び鈴でようやく玄関の鍵が開けられたときには俺はもう泣きそうになっていた
玄関に蹲るようにしていたA
数週間ぶりに会ったはずなのにその姿はあまりにも小さくて、弱くて
こんなにも人の命は脆いものなのか
Aの存在を確かめるように、安堵するように、引き止めるように
その身体を抱きしめた
半ば強制的に言わせた「助けて」の言葉
その言葉で俺を縛り付けてくれれば良い
彼女の部屋の中に感じる男の存在を恨んだ
消えてしまえば良い
見えないものから彼女を隠すように
Aを部屋から連れ出した
救世主？
そんな格好良い言葉で飾れるほど、俺は真っ直ぐに彼女を想ってる訳ではない
Aが深く眠っていることを理由にその顔をまじまじと見つめていたら、彼女の手元から零れ落ちた携帯の着信音が鳴った
そっと盗み見ると、
『佐久間大介:新着メッセージあり』の表示
強い衝撃が走った
確定のものではないのに、あの部屋から感じた雰囲気はもしかしたらあの時のって
本屋の裏口で出会ったあの金髪頭の
はたまたダンサーだと言っていた彼
ひどく焦る自分が居た
もしかしたら、彼女をここまでめちゃくちゃにしたのはって
やはり、俺は彼のことを好きにはなれないかもしれない
きっと、この手から離れてAは再びあの部屋に帰る
でも、今だけは
彼女がこのまま眠り続ければ
携帯のディスプレイをそっと消した
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なむる。(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！この作品自体を美しいと言っていただけること…これ以上に嬉しいことはないです！また新しい作品でも出会えること願ってます。ありがとうございます！ (2021年2月10日 6時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 凄いという言葉しか出てこない、語彙力の無い自分が恨めしいです。セリフや文章表現の仕方など、とにかく美しい作品をありがとうございました。 なむる。さんの作品が大好きなので、これからも応援しております。 (2021年2月10日 1時) (レス) id: bdef6e19e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2021年1月14日 22時
