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今まで一人という空間に慣れていたからか、自分の陣地のような自宅に誰かが居ると、とても違和感に感じる
その違和感を誤魔化すように、佐久間さんをローテーブルの前に案内した
「何か、飲み物とか、」
「良いよ、気にしないで」
そう笑う佐久間さんに釣られて、私も不器用に笑い返した
出掛ける前に出したままにしていたメイク道具や服なんかを簡単に片付け、私もローテーブルを挟んで佐久間さんの向かいに腰掛ける
キョロキョロと部屋の中を見渡す彼に掛ける言葉をいくつも考えた
「本、多いね」
いくつものカテゴリーで分類してどうにか話す内容とその返答を芋づる式に考えていたけど、それよりも先に佐久間さんが話し出した
彼の目は、私のワンルームの一角を占める本棚に向けられている
「そうですね、人並みには」
「いやいや、これは結構だよ」
ぎこちない返答に、佐久間さんは可笑しそうに笑った
その笑顔の真意を確かめようとしている自分が嫌になる
そのまま佐久間さんは四つ這いで本棚まで近付き、その前に小さく座り込む
「この本、全部読んだの？」
「いいえ、半分くらいは読んでないかもしれないです」
「え、勿体ない」
「だって、全部知っている本棚って、面白くないじゃないですか」
彼の金髪頭を見ながらそう言えば、くるりとその頭がこちらを向く
彼の大きな瞳がこちらを面白そうに見てきた
「俺、Aちゃんのそういうところ良いなって思う」
屈託なく笑うくせに、その心の奥は見せてくれない
純粋に喜べば良いのに、彼にそんなことを言わせてる、言わせたくなかった
そんな、無理して笑わないでください
いかにもみたいな雰囲気を作りながら、本当に求める答えはここにないってことくらいお互いに知っているのに
お互いに手の内は曝け出さず、まるでその出方を伺っているよう
私はとことん、誰かとの関係性の構築が下手くそだなって
頭の奥の方にチラつく罪悪感が沸々と大きくなっていた
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なむる。(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます！この作品自体を美しいと言っていただけること…これ以上に嬉しいことはないです！また新しい作品でも出会えること願ってます。ありがとうございます！ (2021年2月10日 6時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 凄いという言葉しか出てこない、語彙力の無い自分が恨めしいです。セリフや文章表現の仕方など、とにかく美しい作品をありがとうございました。 なむる。さんの作品が大好きなので、これからも応援しております。 (2021年2月10日 1時) (レス) id: bdef6e19e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2021年1月14日 22時
