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Miyadate side.
俺の前にまで来たAは、小さくごめんって言った
俺は答えるように、横に首を振る
暫くそうして向かい合っていると、彼女はおずおずといった様子で俺を見上げてきた
「先、歩いてくれないと帰れないよ」
「あっ、そうか、」
彼女の横を通り、再び足を進める
すると、今度はAが俺に待ったをかけた
「叔母さんのこと、宜しくね」
ゆっくりと振り返ると、秋口とはいえまだまだ暑い日差しに照らされた彼女が、深く眉間にシワを寄せていた
「叔母さんのこと、泣かせないでね」
そういう彼女のほうが、泣きそうなくせして
「当たり前だよ。家族だもん」
俺がそういえば、彼女はひどく安心したように笑った
初めて、彼女の純粋な笑顔を見た気がする
他人の幸福ばかり願っているような彼女の、その誰かを思う笑顔は、とてもとても優しくて
この人の幸せを願いたい
俺がそう思ったとき、既に俺はAのことが好きだったんだろう
そのたった一つのことをキッカケとして、俺の感情は濁流のように流れていた
元来、好きな人が出来れば一途な人間だとは自覚していたけれど、こんなにも容易くAに気持ちを持っていかれるなんて
叔母のことが心配で、何より大好きなのであろう彼女は、俺達の家に月に一回程度は訪れるようになっていた
徐々に自分自身の気持ちを認めていた俺は、彼女との距離のとり方に悩んでいたのに、Aは知らないよって顔をして、俺のテリトリーにズカズカと踏み込んできた
分かっている
俺とAは、従兄弟ってこと
本来であれば、そこに俺の感情は相応しくないこと
だからこそ、戸惑っていた
最初の頃の他所他所しさはなくなり、いつの間にか元気に笑うようになったAも
やけに俺と張り合って、一方的に喧嘩というか痴話喧嘩をふっかけてくるAも
対して頭の出来に違いはないのに、一個学年が上だからって俺に勉強を教えろと頼ってくるAも
何もかもが俺にとって初めてだったから
気付いたら、溢れ出しそうな気持ちを両手いっぱいに抱えて
でも、従兄弟だからって言い訳を付けて
だからこそ、従兄弟だもんって上手い理由を作って
相反する気持ちはゴチャゴチャなのに
今、ここでAを手放すことが何よりも怖くって
あの時願った彼女の幸福を、だったら俺が叶えてやりたい
例え、この気持ちが誰にも気付かれなくても
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
