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「どうしよう」
バイトが終わり、自宅に真っ直ぐ帰った
一人暮らしのワンルームの部屋
真ん中に鎮座するローテーブルの上にはクシャクシャのチケットが一枚
佐久間さんに握らされたチケットを見つめて、この先の自分の身の振り方に頭を悩ませていた
簡単な話なのかも知れないけれど、私にとって佐久間さんはやはりちょっと分からない人だから
バイトで佐久間さんとシフトが重なる度、自然と目で追っている自分がいた
それは興味からくるもの
その興味はやがて心までも動かし始め、自分の無意識のところで恋だとか好きだとかの感情が燻り始めているのかもしれない
でも、それを認めた先の結論は知っている
だって、あんなにも真っ直ぐな目で私ではなく、別の人を見つめる佐久間さんを知っているんだもの
誰かを好きになるって、凄くパワーがいること
私達はその時、その一瞬に出会った人に恋し、もう私にはこの人だけだって出会いをいくつもいくつも重ねる
重ねた時間が多ければ多いほど、出会った人が多ければ多いほど、傷付く時間だって勿論ある
特に何かがあったわけではないのに
それをちょっと面倒だなんて浅はかなことを考えてしまう自分
いや、そんな滑稽さで隠したただの臆病者
ましてや結末が見えた話なんて、それを紡げるほどきっと私は誰かを好きになることなんて出来ない
佐久間さんも
涼太も
凄く、凄く、強いのに
チケットをそっと手にした
折れ曲がった角を指で伸ばした
佐久間さんは、どうしてこれを私に渡したのだろう
もしかして、なんて考えてもやはりそれはちょった無謀な話に思えて、すぐにそんな想像なんて掻き消されてしまうけど
『俺のこと、知りたい？』
そう私に聞いた佐久間さんの目はしっかりと私を捉えていた
佐久間さんは、私にどう思っていて欲しいのかな
一方的な押し付けに我儘だって笑いたくなるけど、妙に私のことを分かっているような口振りは変な気持ちを起こさせる
まだ、戻れるところに居る
だから、ちょっとだけ、
彼の策略にでも乗ってみようかな
その先に、
動き出す自分の気持ちがあることを予想しながらも
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
