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Miyadate side.
やめろって言えばきっと彼女はそうする
でも、そうなれば俺が漸く腰を据えたこの場所も、彼女が求める俺っていう存在も消えてしまいそうで
俺にとっての物事の良し悪しが彼女を基準に決まっている
俺、めちゃくちゃ重いな
「いや、大丈夫。ちゃんと上手くやるよ」
何がってことではないけれど
この明け透けな心を不器用に隠す面子くらい、俺が保てなくてどうする
「そっか」
そう答えたAは、少し悲しそうに、不満そうにまたナポリタンを口に運んだ
お前がそんな顔をしちゃ駄目だよ
俺のトリガーを外すのも、お前自身なんだから
Aと食事に行くときの決まり事として、昼食やカフェの支払いはA、夕食は俺ってことがいつの間にか暗黙の了解になった
二人とも学生であって、でも俺にだって譲れないものもあるから
俺が支払いを済ませている間、Aは気を遣って店の出入り口の近くに立っていた
店員に挨拶をして彼女の方に足を進めると、Aは店先に貼られたポスターを眺めていた
Aの背後からそれを見上げる
この店の近くの劇場で行われる舞台の宣伝ポスター
デカデカと掲げられたタイトルに、出演陣の名前と顔写真
あまりにも彼女が真剣に見入っているからそれが何かを探していると、彼女が一点を指で示した
「彼、ダンサーなんだって」
俺には目もくれず、そう小さく呟いたAの指先
"特別出演:佐久間大介"
さっきの彼を思い出す
特徴的な金髪頭に小柄な身長
彼女にとって、佐久間さんはやっぱり少しでも特別な存在なのだろう
俺が知っている佐久間さんはあくまで彼女を通して見た佐久間さんであって、ここで俺がどうのこうの勝手な憶測で喋るのも違うかなって思って
黙ってその文字の羅列を何往復かしていると、彼女がパッとこちらを振り返った
思ったよりも近い距離に一歩下がる
「ご馳走さまでした。帰ろ」
軽く頭を下げたAは先に店を出た
俺もAに続きつつ、そのポスターの端っこに書かれた文字をもう一度見た
俺が知っている彼は、どんな想像をしようとも彼女を通して見た佐久間さんであって、でもやっぱりその彼をどうも好きだとは言えない俺が嫌だった
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
