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Sakuma side.
そのたった一回きりで、阿部ちゃんは俺に電話を掛けることは無かった
多くを求めてた訳ではないけど、やっぱりさ、俺は一方的に思いを募らせてる中で、阿部ちゃんにとって俺はその程度の存在なんだって
現実を思い知って、ちょっと傷付いてみたり
阿部ちゃんが有名大学を受験するって聞いたのは、阿部ちゃんと一緒に踊っていたグループの一人から
このダンス教室は友達作りくらいの気持ちで入ったっていう阿部ちゃんが、俺の知らない、外の阿部ちゃんの顔をして、今日も存在してる
それは俺にとって不思議なことだった
そして、俺は阿部ちゃんのことを何も知らないんだって思った
俺は、もうその頃には進学せずにダンサーとして生きるって決めてた
もちろん両親には猛反対されて、今でも認めてもらってなんてないけど、高校を卒業すると同時に俺は家を出るつもり
軍資金確保のため、高校生活の最後の方はほとんどをバイトに費やした
実家からバスで20分程度の小さな本屋
都会からも近く、そこら一体は大学が多くあって、阿部ちゃんが受験するって噂で聞いた大学もここの近く
元々、二次元に嫁がいっぱい居る俺にとってはむしろ好都合だった
ちょっとした願掛けの意味も込めて
何となくで高校を卒業して、それを機にダンス教室も辞めた
本格的に一人暮らしを始めた俺は、学生街ってこともあって比較的に家賃の安いそこらを拠点に置いた
その間も、俺は一度も阿部ちゃんに電話を掛けていない
しっかりと電話番号を登録しているのに、改まって電話するのも違うかなって
何より、勇気がなかった
阿部ちゃんがその後、どうなったのかは知らない
志望校だって聞いた大学を受験したかすら知らない
その事実を思い知って、馬鹿なことしたなって思うこともあった
でも、そんな後悔も野暮だったって思い知ったのはそれから暫く経ってから
そうか、入学式シーズンか
高校を卒業してからも続けている本屋のバイト
その本屋の前をスーツを着た学生がゾロゾロと歩いていくのをぼーっと眺めていた春の日
さっきまでうんともすんとも言わなかった自動ドアがパッと開いて、呼び込みの声を上げた俺の声が思ったよりもデカかったことにビックリしていた時
少し不格好なスーツ
茶色くなった髪の毛
俺が知っている時よりも少しばかり伸びた身長
垢抜けた表情
運命だ、なんて言葉は胡散臭いなって思うけど、
漸く会えたんだ
ずっと、ずっと思い描いてた彼に
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なむる。(プロフ) - 雪の王子様さん» 私が出した全ての作品に、本当に素敵なコメント下さって！！ありがとうございます^_^彼らの素敵な姿を描けたらな…頑張ります！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - さっくんでてきた！なんかすごい展開の予感…更新頑張ってください。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月23日 23時
