【黒子のバスケ】続もしも、あの日、あの時に...... (ページ9)

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8.再会、動き出す歯車ページ9

「そういえば、最近黄瀬はどうしてるの？」

いきなり出てきた名前に、顔が強張りそうになるのをぐっと耐える。

「相変わらず、うるさいよ。ね」

「あいつは病院っていうのをわかっていないからな」

相槌を求めれば、柔らかく微笑みながら酷いことをいう征くん。
まあ、私もなんだけどさ……。

視覚が曖昧なことで他の感覚が鋭くなっているのか、
コツンッという靴音が耳に入る。
ドアではなく、荷物などを置いているカーテンの方からしたので、彼(・)がもう出てこようとしているのだろう。

はあと心の中でため息をつきながら、しょうがなく登場のタイミングをつくってあげる。

「気になるなら会いに行けばいいじゃない。大学一緒でしょ？」

「が、学部が違うし……。ていうか、気になっているわけじゃ」

「黄瀬は会いたがっていたけどね」

「いや、それはない」

あー、それ言っちゃう？と何気爆弾発言をした征くんにそう思ったが、
Aはそれを即答で否定した。

ないないとおそらく顔の前で手を振っている彼女に、心の中で謝っておく。

「それが、あるんすけど？」

「へ……」

シャッとカーテンが開かれる音がしたかと思えば、
そのまま(声から判断して)不機嫌そうな顔をしてベッドに近寄ってくる彼(・)。

「き、黄瀬」

「やっと会えた……」

きっと病室を無視して怒るのだろうと思っていたのだが、
私の予想に反して、彼はそのままAを抱きしめた……。