不器用なキミと

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楽しい時間は本当にあっという間に過ぎていくもので。
このまま時が止まればいいのに・・・って
本気で思うほど、この空間にずっと縋っていたかった。





｢遅くまでごめんね、時間···大丈夫？｣

俺が誘ったばっかりにって、申し訳なさそうにこちらを見てくる
その上目遣いは反則だから辞めてほしい。。



『ううん、凄い楽しかったよ。ありがとう』


特に可愛げもないこんな言葉を発するのが精一杯で。


今なら急げば終電間に合うかなぁ、、、
なんて時計を見ながら考えていると


｢Aちゃん、家、どこ？｣
って控え目に聞いてくるニカ。


『えっ、と、、〇〇方面だよ』

そう伝えると

｢うぉ、まじかぁ〜反対方向だわ...｣

あちゃーって顔しながら頭を搔いている。。

もしかして、帰りの心配してくれてるのかな...？

そう思い、

『終電間に合いそうだから、電車で帰るよ』

って言うと少し考え込んだ顔をして。

｢んー、、分かった。
ちょっとトイレ行ってくるから、待ってて！
ダッシュで戻ってくる！｣


そう言い残して足早に出ていく後ろ姿を見つめながら、
自分が置かれている状況に今更ながら怖くなっていた。




*


｢お待たせ！｣

満面の笑みで帰ってくると、

｢帰ろっか｣

って言いながら私を出口へとエスコートしてくれた。

お会計、と思い財布を出してレジに向かうと


｢あっもう済んでるから大丈夫だよ｣

って・・・

『え、じゃあニカに｢いーからいーから｣』

お財布からお金を取り出そうとする私の手を止め
俺から誘ったし気にしないでって財布をしまうように促される。


···もしかして、トイレに行く振りして、お会計済ませてたとか？





これがプライベートでの素のニカの姿なのだとしたら、
スマートすぎてさすがにしんどいんだが・・・・・・





しかもお店を出ると1台のタクシーが止まっていて、
｢〇〇までお願いします｣
って言いながら運転手さんにお金を渡しているし！

｢乗って｣

と半ば強引にタクシーに乗せられ、

｢俺は別でタクシー捕まえるから。Aちゃんも気をつけて帰って｣

って。

気をつけても何もタクシーだからそのまま家までだし···ってそうじゃなくて！

『お金っ！、』いいって返そうと思ったら

｢お釣りは貰っといて｣

って澄ました顔で言われて、じゃあねって
軽く手を振りながら見送ってくれたんだけど....
あまりにも一方的すぎてついていけない。。

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