任務95 ページ24
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委員長の問題は解決したが、私にはまだやることが残っている。
それはーーーーーー
「近々、天鱗会との抗争がある。裏にはポートマフィアが控えている。皆、心してかかるように」
先日、武装探偵社に緊急招集された私たちは、社長の言葉で緊張感が走る。
「それから、この件に対して、ポートマフィアの内部抗争が関わっているため、今回に限りポートマフィアと手を組むことになった」
そう、太宰と中也が共闘することになるということ。
そんなのは放っておけばいいと思うかもしれないが、あの2人の喧嘩を止めるのは私の役目だと森さんから連絡が来た。
私の異能力が暴走した時、止められるのは太宰しかいないし仕方ないことなのだろうけど、だからといってあの2人と行動を共にするのは多少なりとも気が引ける。
まあ、私が森さんに逆らえるわけがないのだけれど。
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「そろそろ始まるんだろ?抗争」
翌日。いつものように屋上で宮前とサボっている途中、抗争の話を振られる。
まるで自分は関係ないかのような口振りで、いわかんをおぼえた。
『あれ、話聞いてると思ったんだけど』
「俺は今回参加しない」
『えっ』
てっきり参加するもんだと思っていたから、間抜けな声が出てしまう。
「この世界から足洗うって決めたし、これ以上罪を犯したくない。それに俺…ずっと前からーーーー」
何かを言おうとした宮前は、すんでのところで口をつぐんだ。
どうしたのか、と聞き返そうとしたが、宮前は何かを覚悟した顔をしていたため聞くことができなかった。
ーーー否、聞かない方がいいと判断した。
「とにかく、死ぬなよ」
『誰に言ってんの。そんなことするわけない』
「はは、だよな」
『…絶対、助けてあげるから』
「るせ。俺は1人で大丈夫なんだよ」
『はいはい』
「…好き(小声)」
『えっ』
いつの間にかこんな風に話せる仲になっていた私たち。
人生何があるかわかんないもんだと改めて思う。
初めて宮前と話した時。
最初は怖いやつだった。今みたいに柔らかく笑える日が来るなんて、本人ですら予想していなかっただろう。
宮前も、委員長も。他の人たちも皆、何かに囚われながら生きている。
家柄、友達、価値観。
それはもちろん、私だって。
それでも人は、進み続けるしかない。
たとえそれが、険しい道のりだったとしても。
最後の一言は、聞こえないふりをして。
私は屋上を後にしたーーーー
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ヲタク - ハイキューと文ストどっちも大好きです!面白くて手続きが気になります(*゚∀゚*)ゆっくりでいいので更新楽しみにしています(*´꒳`*) (2023年1月8日 2時) (レス) @page27 id: b8c576bc77 (このIDを非表示/違反報告)
紅月。 - めっちゃ面白いです・・・!!更新主様のペースで頑張ってください!楽しみに待ってますー! (2021年7月30日 12時) (レス) id: 9bccb615c4 (このIDを非表示/違反報告)
ころ。(プロフ) - 続きが…ない…めっちゃ面白いです…ほんとに… (2021年6月16日 13時) (レス) id: a0f37738a1 (このIDを非表示/違反報告)
笹かま - めっちゃ好きです!!更新頑張ってください!! (2021年5月15日 22時) (レス) id: 35f14f2945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真田礼 | 作成日時:2021年2月28日 23時