狂 愛

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Aside





「…さのさん、」





なんで臣くんじゃなくて佐野さんなのかわからない

わからないけど気ついたら電話かけてて





玲「…え、」


「…あ、いや、その」


玲「…どうしたんすか」


「ごめんなさい、間違えました、」


玲「…まって、まだ切らないで」





どうして言う通りに電話を切らないでいるんだろう

浮気相手だとしても、彼氏いるのに





玲「…なんで泣いてるの」


「…泣いてませんけど」


玲「泣いてんじゃん、」


「…どうして男の人って浮気、するんですかね」


玲「…ね、なんでだろうね」





…私、何言ってるんだろう

なんでこんなこと佐野さんに？





玲「…でもさ、みんながみんな浮気するわけじゃないから」


「…でも、」


玲「少なくとも俺はしない、絶対」


「…絶対って言葉が1番信用できないの、知ってます？」


玲「うわ、なんだよそれ、笑」





訳わかんねえよって電話の向こうでけらけら笑ってる

なんか、元気でる

こんな暗い話でも笑ってくれて

なんか助かったかも





玲「…で、なんで泣いてたんすか？」


「だから泣いてないって、」


玲「…いいから、言ってください。言うだけでだいぶ違うと思うから」


「…私、佐野さんの先輩の彼女ですよ？」


玲「浮気相手、なんじゃないの？」


「…うるさい」





笑うとこじゃないのに、また笑ってる

自分が浮気相手なことくらいわかってるって



だけどお互いタメ語と敬語が混ざってて

なんか話しやすいし、心地いい





玲「ほら、言って」


「…でも、長くなっちゃうし」


玲「俺明日昼から」


「…臣くんからラインがきて」





こうゆうラインが来る時は彼女を家に呼んでる事

わたしと彼女が鉢合わせにならないようにしてる事

連絡貰った日にマンションに入ってくところを見た事

全部話した






玲「…Aちゃんが傷つくだけだよ、こんな関係」


「…うん、わかってるよ」


玲「それでも好き？」


「…好きだよ、だけど」


玲「…だけど？」


「もうどうしていいのか、わからない」


玲「よし、明日飯いこ」


「…はい？」


玲「だから、飯いこ」


「…明後日なら」


玲「明後日ね、了解」





じゃあ、って急に切られた電話

これって浮気になる？

…ならないよね、ただご飯食べに行くだけだもん



だけど、佐野さんに従っちゃう自分が怖い

どうしてなんだろう、本当に

…どうして？



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