狂愛 (ページ27)

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臣side

玲於の話になった途端に焦り出して

挙げ句の果てには帰るって出てっちゃって

なにかあるな、一瞬でそう感じた

けどまあ、別にいっかな、くらいに思ってた

…あ、あいつ携帯忘れてってる

「…A、忘れ物…え？」

ハ「臣、この子なんなの？」

A「…臣くん、」

家から出た途端、俺の目に飛び込んできたのは

いるはずのないハナと、泣きそうなA

俺が慌ててる間もハナは酷い言葉をバンバンAに

投げかけて、怒り狂ってる

とりあえずAには帰ってもらって

怒りが止まらないハナをなんとか落ち着かせて

家の中に入れた

ハ「浮気してたってこと？」

「…まあ、」

ハ「…へえ、あんな子がタイプな訳？」

「そうゆう訳じゃ…」

ハ「じゃあなに？私じゃ不満だったからあの子と付き合ったんじゃないの？もしかしてあの子の他にもいたりして？」

「…ハナ、落ち着けって」

ハ「…どうなの？ねえ、あの子だけ？」

「…今は」

ハ「…今はってなんなの？」

「…ごめん、でももう別れてるから」

はあ、とため息をついて

呆れた顔してて、けど俺のことまっすぐ見てる

ハ「ねえ臣、誰が好きなの？」

そんなのお前に決まってんだろ

そう言おうとしてるのに、出てこない

言葉が出てこなくてなにも言えない

なんでだ？

Aなんて、ただ可愛いなって思ったくらいで

別に本気じゃなかった

ハナがいない時の暇潰しみたいな

「…いや、その、」

ハ「…なんなの？あんな子さっさと捨ててよ、」

「わかってる、わかってるから」

ハ「…臣はあの子より私を選ぶって信じてるから」

そう言い残して帰ってったハナ

あんな子捨ててよ、か

Aなんて簡単に捨てられるはずなのに

Aの顔が頭をよぎるたびに胸が痛くて

今になって気づく

俺、まじで最低なやつじゃん

女なんて、あいつなんて、Aなんて

俺が軽々しく口にしてたそんな言葉は

軽々しく言ってはいけない言葉ばかりで

俺の言葉、行動でどれだけAが傷ついたか

どれだけ我慢させてたか

今まで俺、どんだけお前のこと苦しめてた？

A、俺と付き合って幸せだった？

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