【第五人格】陰で恋して(2)【中篇集】

せんぱいな傭兵 ページ1

私は最近この怪しげなエウリュディケ荘園へと招待されたサバイバーだ。参加目的はとても単純。お金が欲しいから。

そんな邪な考えと共に軽い気持ちでやってきた割には意外とハードにリスキーでファンキーな毎日が待っていた。毎日傷だらけにはなるわ誰かしら一日ベッドとお友達になってるわ、前の私の生活から見たら阿鼻叫喚な世界に見えるだろう。慣れてしまったらどうってことない、それが日常茶飯事なのだから。


そんな新人サバイバーの私には強くてかっこいい先輩がいる。傭兵という役職のナワーブ・サベダーさんだ。

彼は私の教育係のようなものに任命され、最初は背が低いくせに目つきは悪いし言葉遣いは荒いし、私のことはお前って呼ぶし怖くて怖くて教育係をチェンジしてもらおうと何回もチャレンジしようとしたがそれすらする勇気も出ず、今に至る。結局怖いのは誤解であったし、仲良くなった今では様々な先輩の表情を見るのが楽しみになってきてもいる。一番好きなのは美味しいものを食べている先輩だ。瞳をきらきらさせてそれに齧り付いて、頬をリスのようにまあるくしている可愛い彼は私の一回り近く歳上。とてもじゃないがそんなふうには見えない。


私と先輩の一日はとても早い。大体みんな起きるのは6時とか7時とかそれくらいなのに、何故か私は5時に起きてナワーブさんを起こしに行く。彼曰く、新人サバイバーはみんなこうして先輩を起こして、みんなが起きるまでの時間何かしらをしてより親睦を深めていくと言う。

早起きはちょっとだけ辛いがそういうものなら仕方ない。それにこの前少しだけ寝坊をしてしまったらお仕置きをされてしまった。体罰とか罵詈雑言の嵐とかそういうことでは無いから先輩を嫌いになることは無いんだけど、その、ちょっとお仕置というものは羞恥心を燻らせるもので結構恥ずかしいことをされる。…内容は、伏せておこう。

部屋の鍵は合鍵を渡されているのでそれを使用して中に入る。彼はいつもは結っている髪の毛を枕に散らばしてぐっすり眠っている。

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