8話 ページ8
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中心部に行くにつれ、知らねェ奴に声をかけられる頻度が上がっていく。正確には、話しかけられているのは隣にいるAだ。
「やァ、Aちゃん。お出かけか?」
「はい!お店の調子はどうですか?」
「今は閑散期でね。
あと少しで繁盛する季節になるから、今は耐え時なんだ。
その時になったらまたお手伝いをお願いして良いかい?
もちろん、お小遣いを用意するから」
「もちろん!」
「あらこんにちは、Aちゃん。こっちの方に来るのは珍しいわね。本屋さんには寄った?」
「寄りました!」
「ふふ。あぁそうだ、息子のことなんだけどね、またちょっと行き詰まってるみたいだから今度相手してやってくれない?」
「なら明日にでもまた来ますね」
「よろしくね」
そこまで広くも大きくもない島だが、やはり知らない人間というのは一定数いるものだ。
そのはずだが、あまりにもAに声をかける奴が多いものだから、島の全ての人間と知り合いなんじゃないかと思えてくる。
人と関わるのが苦手だとか言っていたが、大嘘だろ。
少し後方でまた声をかけられ立ち止まるAをくいなと待つ。そろそろ足止めをくらいすぎてイライラしてきた。
「なんであんな声かけられてんだよ、アイツ」
「ゾロ、あんなにあの子のこと見てたくせに何にも分かってないのね」
「はァ?」
「そんなんじゃ、いつまで経っても私に勝てないわよ」
「なんだと!!」
くいなと知り合って何度目かの一触即発の空気に、戻ってきたAがたじたじになっている。くいながそれに気付いてすぐにその空気を払拭させ、Aに向き合った。
しかし、目はおれに向いている。それも小馬鹿にするような目。
「ま、男のくせに弱いもんね。そりゃ気付かないわ」
「このっ!」
「わー!わー!ゾロくんストップ!!
くいなちゃんも!何かは知らないけど、言い過ぎだよ」
「事実だもの。
そんなことより、お腹空いた。Aは?」
「え、あぁ、まぁお昼だし……」
「なら何処かで食べよ。これだけあるなら、いつもより良いご飯食べられそうだし」
「自由すぎるよ、くいなちゃん……」
一つ息を吐いた後おれに眉を下げた笑みで「行こっか」と言って、くいなの隣に小走りで向かうA。
イライラとモヤつきと、くいなは知っているらしいアイツのことへの疑問と。色んなことが渦巻いてむすくれた顔をしつつも、しょうがないとその背を追って歩き出した。
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たかこ(プロフ) - 続編楽しみにしてます!! (2022年7月5日 22時) (レス) @page45 id: 2079c866b2 (このIDを非表示/違反報告)
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