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43話 ページ43



手の中に握りしめていたものを最後にもう一度握り直して、思い切り振りかぶって投げた。
弧を描いたそれは真っ直ぐゾロくんに届き、難なくキャッチ。ずっと欠けていたピアスの一つ。少し傷が増えたけれど大事にしてきた。

この2年、ずっと支えてくれていた物。
大きく息を吸って、少しだけ寂しい気持ちを堪えた。


「あのね!!私、少しだけ強くなれたよ!
ゾロくん達に比べたらまだまだだけど、それでも強くなれたの!」


銃も剣もまだまだだけれど、身を守る術はそれだけではないと知った。彼らのように特化した技術も無く、ポテンシャルもない。逃げるばかりだけれど、それでも戦えると知った。


「たくさん勉強もした!!私はきっと、新世界を渡っていける!だから、ピアスを返しにきた!!」


船と根の距離は遠くて、彼の顔は明確には分からない。目の前にいたらきっと何も言えなくなるから丁度いい。
遠くで軍艦を食い止めてくれている海賊船。早く終わらせないと。彼らを無事に見送ると決めたのだから。

一人で行くと、決めたのだから。


「だから_______!!!」



「もういい」

「っえ、ァ」


船の上にいたはずの彼が、目の前にいた。
輪の中で笑っていたはずなのに、険しい顔付きで私を見下ろしている。

やっぱり怒られるのかな。
今まで散々守ってもらって、もう良いだなんて虫が良すぎるのは分かっている。それでもこれ以上介入するのは嫌だ。彼らの邪魔をするのは嫌だ。

それが私の決めたことだから、怖くても真っ直ぐ見つめ返せば静かな笑みが返ってきた。


「おれは海賊で、悪党なんでな。
海賊なら欲しいモンは奪い取るのが道理だろ?」

「え」

「おいルフィ!一人追加してもいいか!?」


反射的に船を見る。バチリとルフィさんと目があって、いつもの太陽みたいな笑顔が返ってきた。


「にしし!Aなら大歓迎だ!仲間になろう!!!」

「だとよ」

「え、え?でも、私」


逃げるしか能がないし、元々の物語の中に私はいないし、彼らの船において私が務められる役職があるとは思えない。

階段から落ちるくいなちゃんも守れない私が、みんなを?


「私には、何も」

「諦めろ。
おれも船長も、もうおまえを連れていくと決めたんでな」


悪党に相応しい悪人面の笑みで私を抱き抱えて、そのまま船へ。みんなから歓迎の声が上がり、満足気なゾロくん。

そのままルフィさんの号令と共に船は出港した。



………………え?

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たかこ(プロフ) - 続編楽しみにしてます!! (2022年7月5日 22時) (レス) @page45 id: 2079c866b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雅榴 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2022年3月11日 4時

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