【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ19)

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19話ページ19

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ルフィと出会い、ナミに出会い、ウソップが仲間になり、クソコックが船に乗った。
着実に増えていく仲間は確かな技量を持った奴らばかりで、この先の航海に大きな不安はない。強いて言うなら役職を担う奴が不足していることだが、ルフィが追々集めていくだろう。

そう思っていた、矢先だった。
まるで慢心していたと嘲笑うように。

「わりい、おれ死んだ」

「バ……！！」

「バカなこと言うんじゃねェ！！！」

笑うルフィの首筋に真っ直ぐ落ちていく刃。おれもクソコックも人に阻まれ間に合わない。
おれたち含め観衆が口を開けて驚く中、一人笑うルフィと振り下ろすバギーに_______雷が落ちた。

いつかにAに習ったことが頭を過ぎる。
元々天候は悪かった。バギーが振り上げた剣に反応して雷が落ちたんだ。

ゴム人間のルフィに電気の類は一切効かず、バギーだけが深手を負った。安堵や驚愕など感情は入り乱れたが今はどうでもいい。とにかく厄介な連中に囲まれているし海兵もいる。逃げるのが先決だと即決し、クソコックとルフィと共にメリー号へ全力で走った。

その道中だった。

ローグタウンの刀を売る店で出会った、くいなによく似た女。背後の海兵に"たしぎ曹長"と呼ばれている。
その思想までもくいなによく似ていて、存在すらムカついて口論していた。それでも念頭にあったのは船へ急げと言う思考だ。

それが一瞬、吹き飛んだ。

フードのついたローブを身に纏い、争うおれとたしぎを呆然と見る人影。
フードが脱げたせいなのかずぶ濡れのそいつは、たしぎと呼ばれた女を見て目に膜を張りながら呆然と口を動かした。

故郷の島を先に出て行った女。
成長して髪も伸びたが、見間違えるはずがねェ。

おれは、島を出るお前を一人見送ったあの日まで、ずっと見てきた。

声なんて聞こえていなくても分かる。
何度だって、その口が親友の名を呼ぶ姿を見ていたから。

「_______くいなちゃん」

「Aっ！！！」

「っあ、ゾロ、く」

今おれに気付いたと言わんばかりの声も無視して女___Aを担いで全速力で走った。
追ってくる海兵に追いつかれないように、たしぎという女海兵にこれ以上顔を見られないように。

本来なら海賊であるおれがこいつを担いで逃げるのは愚策で、こいつを危険に晒す行為だと理解している。

それでも、Aをここに置いていくのは良くないと思ったんだ。