149話 ページ38
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チョッパーの診察を終えた彼女は、その目を右往左往させて気まずそうにあぐらをかくゾロの前にいた。
診察時、一言だけ言いに帰ってきたローがそれはそれは呆れた顔と心底くだらねェと一蹴したげな声音で言ったのだ。
「言いたいことを封じて黙らせるタイプでもねェ相手に、変にだんまり決め込むからそうなるんだ」
「ウ"ッ」
「これに懲りたら、もう少し口に出すことを覚えるんだな」
そしてまたワープしていったのでローの面倒見の良さが垣間見えたワンシーンではあったものの、核心を突かれた彼女は瀕死だった。チョッパーでも擁護出来なかったが。
どんな理由があれ、口を閉ざすことを決めたのは彼女自身だ。全ては話せなくとも、部分的なことや苦しいと一言漏らせばきっとここまで拗れなかった。それでも無かったことにしようと無駄な足掻きをしたわけだが。
今となっては愚かにも程がある行動ばかりで、冷静になればなるほど迷惑しかかけていないとへこんでいるAは連鎖的にとある女性のことを思い出す。
康イエの一件でゾロと共に逃げていた女性、日和だ。
先ほど挨拶されたとき、美し過ぎて言葉が喉の奥に逃げていくほどだった。ナミやロビンに慣れていなければ顔を合わせるのも難しかっただろう。
「……ぁ、わ、たし、は」
「……」
とても明るく朗らかで、時折お茶目でありながら凛と背筋を伸ばす美しい人。どんな人も魅了してきたのは伊達ではなく、容姿だけの人形でもない。全ては花魁たらしめる知識や知恵、経験の末の美しさである。
心変わりを恐れているのは、ゾロだけではない。
「親のことを、覚えていなくて……それで」
何から話せばいい？どう説明すればいい？
こんがらがる頭を必死で律して、話せなかった理由や話したいことを整理する。それでも喉は震えるままで声にならない。
身振り手振りにまで気がいかず、その手が混乱や葛藤、怯えから震えていることに気付いているのは目の前のゾロだけだ。
それでもゾロは何も言わなかった。
相槌も打たずいつも通り無愛想に、されど急かさず苛立たずまっすぐに見つめて待っている。
それがゾロなりの誠実だった。
「(______嗚呼、そうだ)」
この人は、そういう人だ。
緊張で早る心臓の鼓動がほんの少し苦しかったが、大きく息を吸って誤魔化す。両手を握って、未だまとまり切らない思考を整理しながら口を開いた。
怖くて怖くてたまらないけれど、それを蔑ろにする人ではないのだから。
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雅榴(プロフ) - あやさん» 今作で更に好きになれたなら嬉しいです〜！👏 たくさん楽しんで頂けたなら幸いです。こちらこそ読んで頂きありがとうございました！コメントもありがとうございました！ (2022年12月13日 16時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この作品を読ませてもらって本当にドキドキとときめきが止まらなかったです！元々ゾロは好きだったのですがこの作品でもっと好きになりました。素敵な作品をありがとうございました✨これからも頑張ってください応援してます！ (2022年12月13日 9時) (レス) @page49 id: 0f7e0fb150 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 翠さん» たくさんのお言葉ありがとうございます！とても楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！長いし文も多いのに最後まで読んで下さってありがとうございました。時折頂けたコメントも嬉しかったしモチベになりました。コメントありがとうございました！(*´∀｀*) (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - なな姫さん» ありがとうございます〜！楽しんで頂けたなら何よりです！次回もまたONE PIECEかなと思っているので、その時もまたお付き合い頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました〜！ (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 長文、何度ものコメント、失礼いたしました。お体にお気をつけて、過ごしていって下さい。今までも、これからも、応援しています！╰(*´︶`*)╯♡ (2022年12月3日 19時) (レス) @page49 id: eb4de4b192 (このIDを非表示/違反報告)
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