先輩と恋。 ページ18
*
今日も真っ直ぐ家に帰る。
はずやった。
｢…先輩、？｣
カバンを持った和也先輩が、階段の近くの壁に寄りかかっていた。
私を見つけると、少し深刻そうな表情をする。
｢Aちゃん、今日一緒に帰れる、？｣
顔を見た途端に、あの日の先輩を思い出して、また心臓が痛んだ。
｢…ごめんなさい、今日は用事があって｣
私は誤魔化して、階段を駆け下りる。
｢あ待って！｣
呼び止める和也先輩の声は、聞こえないふりで。
なんで断ってもうたんか分からへんけど、
今はなんか…会いたくない。
顔を見ただけで泣きそうになるから。
なのに、
｢ねえ待ってって、！｣
追いかけてこんといてよ…。
階段を降りきったところで、後ろから思い切り腕を引かれた。
…顔、みたくないんやってば、、。
お互いの息を整える音だけが廊下に響く。
｢…なんで避けるん。｣
｢…避けてません｣
｢なんで目合わせへんの｣
掴まれた右の手首が熱い。
心臓壊れてまう…。
｢…｣
私は何も答えられずに下を向いた。
返事の代わりに、目から雫が数滴床に落ちる。
先輩なんで怒ってるん、
…そんな理由ないやろ？
ますます頭がこんがらがる私に、和也先輩が言った。
｢…なんか、嫌やねん、
Aちゃんに避けれるん｣
小さくくぐもって、より掠れて発せられた声。
｢…え？｣
ようやく見た先輩の顔。
そっぽを向かれて目は合わへん。
どういう意味で
どういう表情…？
｢…俺のこと、嫌いになったん、、？｣
心配そうに眉を下げて聞いてくる先輩。
目が合ってしまう。
｢…そんなわけないです
違うんです、、｣
どうしてそんなこと聞くん、
やっぱり先輩、変なことばっかり言う、。
｢…ほんまに？｣
その言葉に頷くと、先輩は''よかった''と小さく笑った。
…どれもこれも、ただの先輩後輩という関係の範疇で
特に深い意味なんてないのかもしれへん。
先輩はポケットからティッシュを出して、私の目元を拭う。
｢ごめんな？呼び止めて。
用事あるんやろ？｣
…嘘やって分かってるでしょ？
そのくせ、なんで私が泣いたか聞かへんなんて
ずるい先輩や。
ほんま理解不能で、訳分からんし…。
でもそんな先輩が、
心底好き。
私やっと分かったよ、
これが、ほんまの恋って。
''憧れ''と''恋''は、
似てるけど全然違うって。
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まるこ。(プロフ) - ナポリタンさん» ご愛読、コメントありがとうございます！うわ〜すごく嬉しいです〜🥲ぼちぼち更新して参りますので、これからもお付き合いいただければ✨️ (2022年11月28日 0時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
ナポリタン(プロフ) - 続き待ってます！曲聴きながら読んでたらいつの間にか泣いてました😭 (2022年11月26日 15時) (レス) @page7 id: 9018b286e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まるこ。 | 作成日時：2022年11月12日 11時
