第30話 ページ32
「君は土方派、か。ならば__」
そう言うなり、伊東さんは一気に距離を詰め、私の背後の壁にドンッと手をついた。いわゆる壁ドンだ。
目と鼻の先に伊東さんの顔がある。その眼差しからはただならぬ圧力をひしひしと感じ、正直、怖い。それでも極力平静を保ち、動揺は見せないようにする。
「僕の計画の邪魔をされては困る。この事は決して口外しないでもらいたい。でないと君がどうなるか、わかっているだろう」
「言われなくてもそのつもりです。ここで私が何かずれた事をすれば、未来が変わってしまいますから」
「あくまでも物語の筋を守ることにこだわるという事か。まあいい。いずれにせよ僕は必ずこの真選組を支配する」
「未来を変えれば伊東さんは助かるかもしれないけど、乱起こさずして改心させられるかといえば、それは私には無理だから……」
伊東さんの脇をすり抜けてぼそぼそと呟く。聞こえていなかったのか、彼は何も言わない。それならもういいやと木箱を抱えて部屋を出ようとする。
入り口前まで来て障子に手をかけたところで、伊東さんに呼び止められた。
「さっき、沖田君が君のことを恋人だと言い張っていたが、君自身は彼をどう思っている」
予想外の問いに、一瞬固まる。
「……急に何を」
「彼が僕に対してあれだけ敵意をむき出しにするということは、それだけ君を想っているということではないのか」
「……そんなの、わかりません。あなたには関係のないことです」
背を向けたまま吐き捨てるように言うと、私は部屋を出た。
*
廊下を歩きながら考える。
(総悟が私を好き? まさか、総悟に限ってそんなことあるわけがない。でも冗談でも彼女だって言うようなタイプだっけ? ああもう! ますます分からないよ……)
悶々としながら稽古場所に戻り、竹刀を握って素振りを始めた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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yunami☆彡(プロフ) - 美穂さん» ご覧頂きありがとうございます!楽しんで頂けてとても嬉しいです♪今年受験生になるので更新の頻度が落ちるかもしれませんが、今後ともこの作品をよろしくお願いします! (2019年2月2日 16時) (レス) id: dcfedc9460 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - こんにちは☆凄く面白いです(*^^*)これからの更新楽しみにしてます♪ (2019年2月1日 12時) (レス) id: 8db3d29e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2018年8月21日 8時