俺の姉に常識は通じない【白鳥沢】

10円足りない ページ39

瀬見side
.


昼休み


眠くてこのあとの授業絶対寝ると確信してコーヒーでも買うために自販機コーナーへ向かった







「...ん？」




そこには既に先客がおり、自販機と財布を交互に見て思い詰めた顔をしていた





「Aじゃん、どしたの。

買わないの？」



『瀬見さん！』



こちらに気づいて笑顔を見せるも、また財布に目をやるA




「いやあ自販機って




5円玉と1円玉って入らないのですね...！！！ 」




良かった俺も天才に勝てるところがある


"社会常識"では確実に勝てる







そして、

これが買いたかったんですけど10円足りなくてと彼女が指さす先には





「タピオカしるこティー...？」





なぜおしるこにタピオカを入れるんだ


小豆入ってんじゃん絶対要らねえだろ


しかもホットじゃんなにがおいしいのこれ







そう思いながらも自販機にお金を入れ、自分のコーヒーと一緒に買ってやった





「えええ！いいんですか！！！


ありがとうございます！！！」






味見しますか？おいしいですよ！！

とニコニコしながら聞いてくるAに「まじでいらない」と丁重にお断りし


近くのベンチに2人で腰掛けた







「てかA、白布のことあれから意識したりしないの？」




そう尋ねると頭の上にいっぱいはてなマークが浮かんでいるのがすぐにわかった




「あー、あれだ。

劇で事故とはいえキスしただろ。


あれからどうなんだよ？」





「……ん〜〜



キスはあいさつの1種って勉強したから

最近みんなになんで騒がれてるのか分かりません」





「ああそう...」





かわいそうな白布、と思いながら


とりあえずこれを見て勉強しなさい


と、最近人気の動画視聴サイトの恋愛ドキュメント番組を教えてやった



少しでも理解できるといいけど






もうすぐチャイムが鳴りそうだったため、お互い教室へと向かった





いや、というか結局







「タピオカしるこティーって何...？」









.

恋とは その3→←お久しぶりです..！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す