四百二十七通目 ページ28
Aの中央区への移動は、車によるものだった
てっきり馬に乗ってゆくのかと思っていたが、やはり長距離を幾度も動物に走らせるのは酷だからなのだろう
Aは着の身着のまま──いくらかの装備はもったがほぼ徒手空拳で、車に揺られていた
もうほとんど覚えていないが、何時だかに乗った記憶のある、黒塗りの高級車
運転手の顔も見覚えがあるが、きっと気のせいだろう
車内は驚くほどに静まり返っている
運転手と兄さん、そしてAの三人だけ
会話はほぼない
緊張感が漂うのみで、この空間にはそれ以外存在しなかった
当たり前だ、これから戦場に赴くのだから
歓談なんてしていられない、なにせ死ぬかもしれない
Aの頭の中には、死ぬ不安よりも別の要素が色濃くあった
役目を果たせるのか、そして現存幹部の安否
自らの腕のなまりを、気にしている
とはいっても今までに一度しか戦場へ向かったことはないのだけれども
二年も経てば、軍の形は変わる
その間に戦力が補充され、何か新体系があるかもしれない
そうなった場合、果たしてAはどれほど対応することができるだろうか
そして──一体何人、見知った顔が生き残っているのか
ガヴィル第一戦は、苦しい争いだった
絶命の可能性を、Aはインカム越しにいくつも聞いた
ショッピと鬱先生は、生きているのだろうか
不安だ、不安以外の何物でもない
だが自分の生よりも他人の死を心配するあたり変わらないなと、A自身が感じて、僅かに笑みがこぼれてしまった
「兄さん、戦況はどのような感じですか？」
「──正直わからんな。軍の指針が乱れとる。指揮系統部がぐらついて、その余波が攻撃隊にまで影響しとる感じや」
──想像以上に、過酷な状況のようだ
Aは顔を歪める
現在の指揮部がAの采配を良しとするか、そもそもそこからの問題となってしまった
──田舎者だと、疎外されないと良いが
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アンバ(プロフ) - (みたら士)神様､小説を創ってくれてありがとうございます｡ (2021年5月9日 1時) (
レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 後輩くん…！個人的にはキャラ揃って大喜びしてます。最近更新多くて通知を見るたびに発叫してます。ですが、無理はなさらないように… (2021年5月9日 1時) (レス) id: 6bc5efe30d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - 最近更新増えて嬉しいです。 彼ですかね、、、！ 更新ありがとうございました！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: f15c4b37e0 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 本当にお話一つ一つが素敵で大好きです！無理のない更新で頑張って下さい！ (2021年5月8日 7時) (レス) id: 8384124a90 (このIDを非表示/違反報告)
アンバ(プロフ) - 本当に大好きすぎる…！読者をどれだけこの作品はびっくりさせてくれるんですか！更新ありがとうございます！！！ (2021年5月8日 4時) (レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
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