四百十八通目 ページ19
その生徒一名を、どうしたものかと
それが今回の議題である
現在名が挙げられているのは、五名の──男の学徒だった
それぞれが統率力に優れているもの、即断性に優れているもの、様々であるが
どれも戦場に出すには、惜しい部分があるのだった
──Aと口論になった男も、この中に含まれているが
院長等は、これだ！と首を縦に振るべき人材を、選びぬけないでいる
確かに、学院内では彼等は優秀だ
成績も良い
しかし、あくまで【成績が良い】だけなのである
実戦形式の授業と、本当の戦場では、全く違う
自身が指を降るだけで誰かが死にゆく感覚
その指揮棒にかかる生命の重圧に、彼等が耐えきれるのかどうか
それが、引っかかっているのである
判断を間違えれば何千人と死ぬ
誤らずとも、死ぬ
地獄のようなその場所で、一体生徒が何分持つことか
いや、一分たりとも持たないかもしれない
重圧に耐えかね、死を選ぶことも
──死の可能性が極限まで高い戦場へ、一体誰を送るか
この学院の名誉のため、というのもあるが
自分が大事にしてきた生徒がみすみす死んでしまうのはいたたまれないという、やはり指導者としての念が、学院長にはあるのだった
そんな中で一体、誰を選ぶべきなのか
誰が一番、最善を尽くすことが──強いて言えば、生きてまたこの学校にやって来てくれるのか
選ばなければ、いけないのだけれども
その時、ノックの音が鳴る
コンコンコンと、急くような三回の音
「失礼します」
扉を開いて入ってきた若い職員に、学校長は僅かに顔を顰めた
「会議中だ、後にしなさい」
この案件は過去最大
人名を賭すものなのに、雑多な諸用に構っている暇などないのだった
「いえ、ですが──」
「なんだね、言ってみたまえ」
「わ、我々国幹部の方が、お見えになりました！」
その言葉に学校長は目を見開いた
──もう、決断のときが、来てしまったというのか
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アンバ(プロフ) - (みたら士)神様､小説を創ってくれてありがとうございます｡ (2021年5月9日 1時) (
レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 後輩くん…！個人的にはキャラ揃って大喜びしてます。最近更新多くて通知を見るたびに発叫してます。ですが、無理はなさらないように… (2021年5月9日 1時) (レス) id: 6bc5efe30d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - 最近更新増えて嬉しいです。 彼ですかね、、、！ 更新ありがとうございました！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: f15c4b37e0 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 本当にお話一つ一つが素敵で大好きです！無理のない更新で頑張って下さい！ (2021年5月8日 7時) (レス) id: 8384124a90 (このIDを非表示/違反報告)
アンバ(プロフ) - 本当に大好きすぎる…！読者をどれだけこの作品はびっくりさせてくれるんですか！更新ありがとうございます！！！ (2021年5月8日 4時) (レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
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