二百九十九通目 ページ50
くられとその友人は、リビングの椅子に腰を掛けて、談笑を──Aの話を、していた
「なんなんや、あれ……」
──友人は過去に、天才という部類に入る人材を、両手の指の数ほどは見てきた
頭脳明晰なもの、戦闘に長けているもの
その種類は様々だが
あれは、Aは
「やばいのベクトルがちゃうよなぁ……」
彼女がどこから来たかはわからない
きっと、かなり良いところのお嬢様なのだろうか
礼儀もなっているし、良い教育を受けてきたのだろう
──もし、そうでないのなら
単純な、どこにでもいるような、女学生だったのなら
その血筋の問題だろうか──
「スワンプマン」
「は？」
「テセウスの船、シュレディンガーの猫。トロッコ問題、メアリーの部屋」
「なんなん、それ」
「思考実験」
──そして、数日前にAがつぶやいていた、独り言
くられにはようやっと、彼女のうわ言の意味が理解できた
考えていたのだ、頭の中で
──【透明になる】以外の、方法を
「天才というのは、まず机上の空論を作り上げる」
──思考実験を練り上げて、実現するものなのか否か、それか正義か悪かを夢想するんだ
「なんの話なん？それ」
意味不明と言いたげに、友人は小首をかしげた
つまりはまぁ、端的なことなのだ
「──天才は、規格外なことを思いつく」
「先生」
ぽつりとくられが呟いたがはやいか、当人の名前が、地下階段の入り口から顔を出した
「濾過装置と置換の道具をお借りしたいのですが……何処にあるんでしょうか」
「嗚呼あれね、最近使ってなかったから奥の方にしまってあるよ。取ってこようか」
「お願いします」
地下室の鍵を手に取ったくられが、Aとすれ違いに退出していく
それを見送ったAは【ドミトリー】の元へ寄ると、軽く頭を下げるのだった
「ご歓談中にお邪魔してすみません、ドミトリーさん」
遠慮がちに言う彼女に友人は苦笑いをこぼす
そこまで謙遜することはないというのに、と
「あー、そんな他人行儀な呼び方せんでええよ」
少しはずかしげに頬を書きながらいうと、Aは困惑したように小首をかしげた
「では、なんとお呼びすれば？」
「んー……」
「兄さんって、呼んでくれればええ」
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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