二百五十二通目 ページ3
ふとAは、後方のベリヌーイに声をかけた
「ベリヌーイさん……諜報の理由って、結局のところなんだったのでしょうか」
「嗚呼、A殿のお耳には届いていなかったのですね──我々国の戦力調査、として私達は送られました」
そういってベリヌーイは、話し始める
馬の足が四つ打ちする音や砂利の潰れる音、雑音の中でも彼女の声はよく通った
──彼女が言うには、こうだ
元来よりガヴィル国は、領土拡張や軍備増強を踏まえ、我々国侵略を目論んでいた
多対少ではあるが、【まとまった】戦力的には我々国が上
故にガヴィル国上層部の人間は、【各個撃破】を目論んだのだという
「今回の開戦は、つまりその計画が完成したということ──申し訳ありません、私が知り得る情報は、これぐらいしか」
指揮官でありながらも諜報に向かわされたベリヌーイ
──捨て駒、だったのかもしれない
捕まってしまうことが前提で、上層部の人間はベリヌーイに情報開示を行っていなかったのかも
──いや、考えていても仕方がない
例えちゃちなものだとしても、彼女が提示したのが有力な情報であることに変わりはないのだ
「各個撃破……師団ごとに相手取って戦うつもりでしょうか」
敵の数は多い、それならば、大隊ごとに数で攻めればもしくは……
例え熟練の兵士一人だとしても、二人でかかられては勝ち目があるとは思えないものだ
それが三人、四人ならなおのこと
「わかりません──観測部隊は、無事、でしょうか」
ベリヌーイが、ぼそりとつぶやいたのを、Aは聞き逃しはしなかった
「ゾム殿があちらへ向かったとお聞きしましたが──よもや、一人でどうこうなるものかと」
「いえ……鬱様も兵を率いて、援軍に向かいました。きっと、生存者を連れてきてくださいます」
……戦場において、利己的な考えは軍を滅ぼしかねない
それでもAは、鬱先生が心配だった
振り切った堪え難い違和感と、恐怖が
Aの身を苛むのを、止める手立てはなく
「ッ今はただ、目前の敵を対処しましょう」
「──はい、上官殿」
二人が決意を固めた、その幾分か後のこと
両軍、接敵──
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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