二百六十通目 ページ11
実力的には、勝っているはずだった
ただ少し
──部下に対する情深さが、身を滅ぼしただけで
観測部隊の救援は、成功した
半数の生存者を見つけることが出来たのだから
あとはこの数名を、戦場──可能ならば城まで、連れていくのみ
付近に来ているという救援の部隊と合流すれば、きっと人数分の馬が用意されていることだろう
そこまでの辛抱だった
──そこまで行ければ、無事だったはずなのに
塔を降りた皆を待ち構えていたのは、無数の兵
剣や長物を持ったその衛兵は、救援部隊というナリではなく
明らかに敵の勢力であった
その数、ざっと五名ほど
──これぐらいならば勝てるな、とゾムは確信していた
「お前ら、下がっとけ」
「ッはい」
部下等が入口付近まで後退したのを見計らうと、ゾムは懐から短剣を取り出す
これが彼の獲物である
瞬時に構えると、えぐる様に地を蹴って跳躍
敵の間合いに入り込むと、右軸足に回転して、ニ名の喉を切り裂いた
鮮血が彼を染める
その生臭さに笑いながらも、ゾムは前傾姿勢をとった
回転の反動で一時停止した彼の首を狙った、長物を持った敵兵が、その刃を振り下ろす
しかしゾムはそれを容易に抑えて弾き返すと、衝撃で後方に倒れ込んだその兵の心臓部にナイフを突き刺した
しかしその剣は抜くことなく、死んだ敵の顎先を蹴り上げる
死してなお握っていた長物を奪い取ると、自身の背後にまわっていた敵兵の体を、振り向くことなく突き刺した
ちらりとそちらを見れば、しっかりと腹部に刺さった刃
しかし尚も抵抗の意志を示して剣を振りかざすその様を見て、ゾムはその腹から刃を抜き取った
「ぐ……っ、ふぅ」
という声とともに、絶命せしめるその体躯
──そしてその身が倒れる奥に、見た
残った敵兵が、部下に刃を振り下ろそうと、腕を掲げる姿を
フリーズする頭
──そして、無意識に動く体
地面を蹴って勢いをつけると、その合間に
──刃と部下の合間に、割って入るのだった
「ッ……グ……ァ……」
右の胸部に刺さる刃
それと同時にゾムは、敵の首に長物を入れる
彼の顔にかかったのは、相手の鮮血か、自身の血液か
不明瞭などちらかを浴びながらも、彼は刺された衝撃で後方へ倒れた
「ッゾム様ァァッ！」
その身体を、部下が受け止める
胸部のナイフは抜けていた
──意識はもう、そこにはなかった
我々国幹部ゾム
弱点は──【部下】
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bh(プロフ) - 更新ありがとうございます...！続きとても楽しみにしてました。いよいよ主人公が仲間の一部と接触してとてもハラハラする展開で、もう続きが気になります....！とても面白い作品を書いてくださりありがとうございます。これからも末永く応援しております。 (2021年5月9日 14時) (
レス) id: 5ca24da818 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - FUJIさん» コメントありがとうございます……長い期間読んでいてくださったんですね、感謝しかありません。最近はかなり順調に更新できていますので、どうぞお楽しみください (2019年12月24日 19時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
FUJI(プロフ) - 初めまして！最初からずっとコメントしたくて勇気が出なかったのですが、ﾊﾗﾊﾗの展開で毎日通知を開いてしまうほど好きです(土下座)これからも更新楽しみにしております！ (2019年12月16日 22時) (レス) id: eb5fc7d995 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» その長年と比べてまで褒めてくださり……ありがとうございます！適度に待ち時間というわくわくを提供しつつ、更新頑張ります…… (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！さん» 明日と言わず、明後日明々後日も頑張っちゃってください( 'ω' )/ (2019年12月16日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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