百九十九通目 ページ50
泣きそうに眉を寄せているが、その眉根は怒りをこらえているようにも見えて
噛み締めている口は、悲しみを黙らせているようにも、歯を食いしばって何かを抑えているようにも
「う……つ、様」
「ッ、連絡してくれる言うたやん？それ……待っとったんよ」
「あ……」
登校前、降車時に確かに言っていた
何かあったら鬱先生に通信をすると
一番近場に待機していたはずの彼が、何故突入してこなかったのが、理解できた気がする
いや、理解はできていない
何故、それだけの理由で
──その疑問を解くように、鬱先生は口を開いた
「……どう、やった？人を殺してしまった感覚は」
「ッッッ」
Aは思わず息を呑んだ
そしてゆっくりと口を開く
あの生々しい感覚は、思い出しただけでえずきそうになる
牛や豚といった生肉を切るのとはわけが違う、現実的な感触
直後、絶命したという実感
「気味が……悪かった」
「せやろ？僕は……ッ、僕はそれを、経験させたくなかったんよ？！」
嗚呼、そういうことだったのか
彼はAを第一に考えて動いてくれていたのだ
だからAを信じて通信を待ち、自身に頼んでくれるのを待っていた
──仲間として、期待していたのだ
それでも、Aは
「ッ私は、頼るだけじゃなくて……能動的に動けるように、なりたいです」
「このままだときっと、昨日みたいに塞がっちゃうから……」
「嗚呼……そか、ならしゃーないな」
それならば、と
木陰から身を出した鬱先生は、吹っ切れたように笑った
「でも、大変なときは頼ってや……危ないときは、助けてあげるから」
「僕じゃなくても、ロボロでもシャオちゃんでも誰でも」
だってもう、仲間やろ！
そう言って笑った鬱先生に、Aはつられて笑みを返す
共に帰宅した二人を、場内にいた幹部が茶化して
Aの負傷を見たトントンが血相を変えて焦ったり
しんぺい神が激怒して暴れ回ったのは
また別の話
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檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
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