218話「完結」 ページ37
「………え」
「ほら、俺達、互いが好きだけどちゃんとそーゆーの言ってなかったから。」
情けなく笑う快斗の前に、俺の頭はフリーズ寸前だ。
「付き合うったって何すんの…俺、そーゆーの疎いんだけど。」
「んー、別にする事は変わんなくても、Aが俺の！ってゆー証明っつーか約束っつーか？」
目を逸らしながら話す。
恥ずいなら言わなきゃいいのに…って聞いたのは俺だけど。
「俺が…、快斗の？」
「え、まって、可愛い。もう一回言って」
快斗が携帯を構える。
「ふざけんな」
と、お互い笑い合う。
何が可愛いんだよ俺の。
「誰にも取られたくねーんだもん。そーゆー約束みたいな感じだと思ってくれれば俺的にはいいんだけど。」
「じゃあ快斗も俺のだな。」
「…Aｻﾝ。急にそーゆーのぶっ込んでくるの止めてください……。」
耳まで真っ赤になりながら俺に抱きついてくる。
え、間違った事言ってねぇよな。
「………そーだよ。大好きなおにーちゃんもAのだよ。
だから俺と付き合って？」
「……俺でいいの？」
だって俺、嫌な奴だよ。
それも筋金入りの。
でも俺がそう言うと快斗は
「お前じゃなきゃ嫌。お前がいいんだよ。ばか！！………Aは？俺でいい？」
少し情けない声で言う。
不安げな雰囲気を醸し出して。
「快斗が好きだよ。」
「あ〜〜Aそーゆーとこある…」
抱きしめる力を強くする。
なに、そーゆーとこって……何か悪い事言った？
「もうめちゃくちゃ好き。離して、って言っても離してやんねーから。」
「や、物理的に離して欲しいかな。」
冗談げに笑う。
馬鹿A！！と、少し怒った声で俺の頬を抓る。
めちゃくちゃ痛いんですけど快斗ｻﾝ？？？
「…………拾い子だけど、よろしくね。」
「待ってお前もしかして根に持ってる？いや、めっっっちゃごめんって。」
「冗談。」
と、俺も快斗の事抱きしめ返す。
「うっぇ？！Aｻﾝ？？」
「今晩は魚にしよう。」
「ヤメテクダサイ。……てか何でそんなに俺に意地悪な事ばっか言うんだよ。」
「快斗君が可愛いから。」
昔呼んでたみたいに呼んでみる。
怒られるかな…？
と、思ったけど頬をつねられて
「"快斗君"禁止。あと可愛いのはA。」
「いひゃい。」
快斗は俺の頬を撫で、笑い合う。
幸せだ。
あんな人生から生まれ変わって、
黒羽快斗の弟になれて、本当に良かった。
ありがとう。
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沢 - めっちゃすごいです―ーーー、一気読みしてしまいました！これからのお話も頑張ってください！！応援してます。 (2021年1月5日 11時) (
レス) id: 9cb9dbbd4b (このIDを非表示/違反報告)
美術部 - ヤバイ、一気に読んじゃいました・・・もっと早くにこの作品に出合いたかったけど、読めて最高に嬉しいです！この小説を書いてくれた作者様、本当にありがとうございました！ (2020年8月15日 18時) (レス) id: dfab0f562e (このIDを非表示/違反報告)
とく - 最後まで読ませて頂きました。ひたすらに最高でした。リアルタイム(?)では見れませんでしたけど、この小説見つけられてよかったです！ありがとうございました。 (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの匿名 - オメガバース…知ってたんですね……めっっちゃ気が合いそう！！(小並感) シリーズ1から読ませていただいてます！素晴らしい語彙力だと思います。その語彙力10分の9ください() (2019年5月26日 19時) (レス) id: 16bc441f1e (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 吸血鬼LOVE♪さん» いざ文字に起こされると恥ずかしいですね…笑笑 でもわざわざコメントありがとうございます！！！自分でも「え、ここでちゅーしていいの？」と自問自答しました笑笑 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2018年6月23日 1時
