208話「言い掛かり？」 ページ27
「見てません。」
と、赤井さんの影に隠れて小さく首を横に振る。
痴漢魔に怯えて可哀想な青年の出来上がりだ。
「なっ、てめ、…駅員さん！！見ただろ！！？」
「わっ、私は…電話をしていたので分かりかねます…。」
なんだそりゃめっちゃウケる。
アンタめっちゃ笑ってたじゃん。
ばりばり見てたよね。
これがイケメンのなせる技か……。
いつの間に手袋を外したのか、赤井さんが
「自分が捕まるからといって言い掛かりはよしてくれ。因みに自分はこーゆーもんだ。そんな事、する訳がない。」
と、警察に横に長い警察手帳の様なものを見せていた。FBIの身分証明書なのか、俺にはそこまでの知識はない。
警察はギョッとした顔で赤井さんを見る。
それじゃあ、と、痴漢魔を連れて警察が去っていく。
警察が来るまでと、事情聴取やらなんやらで3時間弱、経っていた。
「保護者に連絡した方がいいんじゃないのか。」
確かに少し空が暗くなってる。
今から電車乗って、家に向かうともう夜になるだろう。
「あ、確かに…。」
と、快斗にメールを入れておく。
電車を待つ時間、赤井さんとベンチに座る。
「あ、あの…、助けてくれて、ありがとうございました。」
沖矢昴さんの正体を知っているということまでバレたが、助けてくれたのは事実だから。
「……味噌。」
「え？」
「味噌を譲ってもらったからな…。」
それを聞いてギョッとする。
そっとしとこうよ、もー。その件に関しては。
「いや、あの…えーーっと、なんの話ですか？」
嘘笑いをする。が、きっと無駄だ。
「君は俺の正体を知っているだろう。さっき確認済みだ。」
「……すいません。」
すこししょんぼりとした顔をする。
つーか俯く以外の選択肢は無い。
「……電車が来たぞ。」
流石都会。全然待たなくても電車が来る。
偶然にも座れた俺達は、移動中終始喋らずに、とても気まずかった。
降りる駅が近付いたので立ち上がると、赤井さんも立ち上がった。
「っと、同じ所で降りるんですか？」
「そうみたいだな。」
改札を通る。
「あの、本当にありがとうございました！！」
と、頭を下げる。
すると赤井さんは頭をぽんぽんして、
「顔を上げてくれ。あと俺は、君の事悪いヤツだとか、疑っては居ない。」
「……え」
「失礼ながら君の事、調べさせてもらってね。」
おーーーっと？？
調べた？何を？？
てか味噌譲っただけの関係なのに？？
どーやって？？
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沢 - めっちゃすごいです―ーーー、一気読みしてしまいました！これからのお話も頑張ってください！！応援してます。 (2021年1月5日 11時) (
レス) id: 9cb9dbbd4b (このIDを非表示/違反報告)
美術部 - ヤバイ、一気に読んじゃいました・・・もっと早くにこの作品に出合いたかったけど、読めて最高に嬉しいです！この小説を書いてくれた作者様、本当にありがとうございました！ (2020年8月15日 18時) (レス) id: dfab0f562e (このIDを非表示/違反報告)
とく - 最後まで読ませて頂きました。ひたすらに最高でした。リアルタイム(?)では見れませんでしたけど、この小説見つけられてよかったです！ありがとうございました。 (2020年5月1日 14時) (レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの匿名 - オメガバース…知ってたんですね……めっっちゃ気が合いそう！！(小並感) シリーズ1から読ませていただいてます！素晴らしい語彙力だと思います。その語彙力10分の9ください() (2019年5月26日 19時) (レス) id: 16bc441f1e (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 吸血鬼LOVE♪さん» いざ文字に起こされると恥ずかしいですね…笑笑 でもわざわざコメントありがとうございます！！！自分でも「え、ここでちゅーしていいの？」と自問自答しました笑笑 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 8b1dfa966a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2018年6月23日 1時
