常識レベル ページ6
目覚めてから初めて生きている人間に出会った。
何故か彼らは私のことを「少年」と呼ぶけど今そんなことはどうでもいい。
話を聞くところによると【生存組織】なるものがいくつもあって生存者はそのいずれかに属しているらしい。
私の他にも生きている人がいるということに安心感を覚えてしまう。
そんな彼らの拠点にお邪魔することになったのだが、何故か三人とも私の方を驚いた顔で見つめてくる。
『え、何?』
「・・・日没時間なんて普通の暗記項目じゃないだろうに」
『そうなの?』
いや、言われてみれば確かにそうだ。
日没時間なんて暗記していたところで日常生活において役にも立たない。
しかし私の脳内ではそれはそれは常識レベルで湧いてくる湧いてくる。
試しに他の事も思い出そうとしてみた。
『多分私、百五十ヶ国の三百六十五日の日没時間なら覚えてるし憲法や法律も一字一句間違えずに言えるかも・・・』
やめて、三人ともそんなドン引きしたような目で見ないで。
私だってドン引きしてるんだから。
『ま、まぁ崩壊した世界じゃ何の役にも立たないと思うけど。あ、それと・・・』
話を逸らすために背負っていたバックパックを取り出し、一番近くにいたゾムさんに差し出した。
食料や必要になりそうな物を詰めていて重りになったが化物に背後から襲われた時に緩衝材としても使えるかと思い、背負っていたのだ。
『裸足で上手く走れないから持ってくれるとありがたい。中身は好きに使ってくれ。多分役に立つから』
「ん・・・・・・って重!!!!」
手渡した瞬間、想定していた重さよりも重かったのかゾムさんの手が少し沈んだ。
「これ何が入ってるん?」
ゾムさんがバックパックのファスナーを開けると中から顔を出したのは食料缶詰の山々。
缶詰山を見たゾムさんは目が輝いている。
それは即ち、現状の食糧困窮が深刻だという事を意味している。
「え、お前コレどこで手に入れたん?店とか何もなかったやろ?」
『店の陳列棚には何もなかったけど、運搬トラックの中とかはまだ日持ちしそうな食料あったよ』
世界か、はたまたこの地域だけかは分からないけど文明が、生産が停止した瞬間から食料の争奪戦が起きたんだろう。
コンビニやスーパーの陳列棚やバックヤードに菓子類から始まる全ての食品がなかったのはその為だ。
が、混乱した人達はどうやら運搬用トラックにまでは目をつけなかったらしい。
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お星 - お久しぶりに見たらすごくなんかなんかねえっと発狂したうん! (2020年9月26日 14時) (レス) id: 7b09c37ff3 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 更新されてたからまた来ましたけど、超面白い……超好き( 超唐突 ) (2019年10月10日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
まんまる(プロフ) - すごく面白いです…。続きが気になります!応援してます!無理しない範囲で更新してくれると嬉しいです!楽しみに待ってます! (2019年7月28日 20時) (レス) id: 6af86988b7 (このIDを非表示/違反報告)
注射器(プロフ) - d!でこういう話は新しいですね…。文章も読みやすく、ストーリーも続きが気になるような素敵なもので凄いです……。 (2019年7月24日 18時) (レス) id: 91a8b31b94 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - ふぁー!!!はよ続き読みたいです!!!チノたんも居るの嬉しいです!!!!!マンちゃんの事さらに好きになりました(( (2019年7月12日 2時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みー | 作成日時:2019年7月10日 0時