君がいないと、僕は�� ページ17
松村サイド
つるりと俺の額から滑り落ちる汗を、Aの視線が追う。
その瞬間にさっきまで俺から受ける刺激に歪んでいた顔が何か物憂げな表情に変わる。
ねえ、今一緒にいんの俺でしょ。
なんで他のこと考えてんの？
誰のこと…思い出してんのよ。
その記憶を振り払うように目を瞑るAに、俺はまた口付けた。
好きなんだよ。
こんなに、どうしようもないほどに。
だからこそ遠い。
Aが何を考えてるのか分からない。
こんなに一緒にいるのに、何も見えない。
重ねた唇からじゃ、繋がった身体からじゃ、何も伝えることはできない。
だけどやめることもできない。
Aがいなくちゃ、俺はダメになってしまうから。
何度も何度も同じことを考えては、やっぱり手放せないって結果に至る。
そんな俺の自分勝手がきっと…Aをもっと苦しめている。
.
.
『…ほくちゃん？』
松村「…ん？」
『わたしはいつだって味方だからね。だから、だーいじょうぶ。』
この世界をやめようか悩んでいた時に彼女がそっとかけてくれた、あったかくて魔法みたいな言葉が脳裏によぎった。
Aはいつだって俺に寄り添ってくれていたのに、それなのに俺は。
『……ほくちゃん？』
松村「…A、起きたんだ」
『どーしたん、そんな顔して』
松村「……A、」
松村「A、俺………」
もはや何を言えばいいのかすらわからず言葉が出てこなくて黙り込む俺にAは
『大丈夫、ほくちゃんはなんにも悪くないよ。』
『…だから、だーいじょうぶ。』
そう言ってあの時と全く同じ顔で笑って、あの時と全く同じように柔らかいその手で俺の手の甲をなでた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Canchi(プロフ) - 更新ありがとうございます！移行おめでとうございます。いつも楽しみに読ませていただいています！らぶちゃんの葛藤が胸に刺さってます。これからも更新頑張ってください！ (2022年12月5日 3時) (
レス) @page50 id: ffebc9cb66 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - リクです！丈くんとsnowmanで絡んでほしい！ (2022年11月4日 0時) (レス) id: c6bc947bda (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - ナギサさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまいすみません。14までシリーズ続いているのに一気読みしてくださって嬉しいです！今後も楽しんでもらえるよう更新頑張ります！ (2022年10月2日 23時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - 一気に読ませて頂きました。凄く読んでて寝れなくなるぐらいハマりました。ハンカチ片手に読ましてもらいました。楽しみにしてます。頑張ってください。 (2022年9月18日 8時) (レス) @page17 id: 1632e4ccbd (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - ダリアさん» コメントありがとうございます！こんなに長いお話を一気読みしていただけたなんて嬉しいです！今後も心を動かせるようなお話が書けるよう頑張ります！ (2022年9月4日 11時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らる
| 作成日時：2022年8月12日 9時
