【名探偵コナン】お前なんか大嫌いだ 3【降谷零】

89話 ページ9

・降谷視点

あれからマンションの中へと帰っていったAを見送った後、俺はまたハンドルに頭を預けて項垂れた。
今までの人生の中で1番長いんじゃないかというくらい、長い溜息を吐いて、先程の自分の行動を思い出し、また溜息を吐いてしまった。

(なにやってるんだ、俺…)

勢いに任せて、信じて欲しくてキスまでするなんて最低にも程がある。
罵られる覚悟で確かにしたが、Aは罵るどころかちゃんと信じてはくれたらしい。
罵ってくれた方がまだよかった。逆に慰められる様に背中を軽く撫でられて、本当に自分が情けなくなる。

他にも言うことは、沢山あっただろう俺。
今までごめんだとか、言うことも謝らなければならないことは沢山あった。
それなのに、キスまでかまして、言いたいこと言うだけいって。

……好きだとは、結局言えなかった。
まだちゃんと謝れていないのに、告白だなんてそんなの順番が違いすぎる。

明日からどんな顔すればいいんだろう。

潜入捜査で、女を口説いたり、必要があればそういうこともしてきた。
けれどやはり、好きな女相手となると、どうも計算だとか計画とかそういうものが関係なくなる。

散々傷つけて詰っておいて、それでも、あいつのことはちゃんと大事にしたいのだ。
………いつまでもここで落ち込んでいるわけにもいかないので、色々考えるのは家でしよう。

車を発進させて、マンションの前から漸く出発した。
自分で更に悩みのタネを増やしてどうするんだ降谷零。
悉くA関連のことに関してポンコツな自分に、ほとほと呆れた。

脳内で松田達が爆笑している姿が浮かぶが、それにすら殺意どころかなにも反論はできやしない。



「………きみはばかだなあ」

マンションから車を発進させて、俺の車が見えなくなるまで、自分の部屋のベランダから俺の車を見守っていたAには当然ながら、気付かずに。



×××××

殿堂入りありがとうございます！

こういうもどかしい感じなの好きなのわかって

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