【名探偵コナン】お前なんか大嫌いだ 3【降谷零】

103話 ページ25

(死ぬほど動きにくい！！)

それは当然だ。動きやすさを重視はしているが、それはあくまで普通のドレスに比べたら、と言う意味。
本当は私だってスーツが良かったのだが、それだとあの場には溶け込まない上に不自然だからだ。
加えてヒール。動きづらい上に歩きづらいし走りにくい。今現在、犯人の男を追ってる身としては。

(しかしなんで、外に逃げるわけでもなく上に…？確かに外には公安がいるから、逃げることはできないが)

加えておかしい事がある。
何故花菱氏に直接攻撃を入れるようなことをしなかったのか。殺しに行くなら、花菱氏が演説をし、壇上に上がるあの無防備な時だと思ったのだ。
だがそれはせずに、むしろ会場に居た人間全員を巻き込んだ爆発を起こした。
あらかじめ用意してあった膨大な量の爆弾。花菱氏に殺害予告をして居たのなら、その背後と護衛には警察がいると言うことは想定内のはずだ。

そう、花菱氏本人に直接危害は加えないと言わんばかりだ。

殺すつもりなら、残りの爆弾全て爆破して、警察も、会場の人間も関係なく全て殺せばいいのに、それをしない。
爆破した場所を考えると、外に出るための通路計8カ所に仕掛けられていると考えた方がいい。
先ほどの爆発2回と、またさっき3回また爆発があった。
残りは3カ所。

(そうだ、殺すつもりなら警察にも誰にも邪魔されないように、最初から花菱氏に脅迫せずにすればいい。殺したいのなら邪魔が入らない方が1番なのに、それなのに)

周りの全てを巻き込んで、逆に目立つようなことをした。
まるで見せびらかすように。

(誰に？……何を？)

5階まで昇ったところだろうか。
会場の最上階までやって来て、流石に5階まで全力疾走すると疲れる。
荒い息で、ゆっくり警戒しながらあの男が向かった場所へと足を踏み入れる。
………青い月が見えるエントランスだった。そこそこ広い。
そこの中央に、その男はまるで待つように立っていた。

月明かりで照らされたその顔は、割と若いように見える。
推定で20代後半くらいだろうか。…私と同じくらいかもしれないな。

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