100話 ページ22
花菱嶺二。
わざわざ公安に依頼を持ちかけた人物であり、政治家。自身に殺害という脅迫状を持ち込まれたことにより、大層血相を変えて藁にもすがる思いで公安に来たそうだ。
以前からこの御仁には色々と黒い噂は絶えない。私でも聞いたことがある。
闇金やら果てに人身売買やら揉み消しやら…まあ数えだしたらキリがないほどらしい。
絶大な力を持つ御仁ではあるようだが、古狸に相違はない。
年を食った年配者ほど厄介なものはないし、事実、そんな黒い噂が嘘でも事実ではないにしろ、あまり評判はいいというわけではないのだろう。
場合によっては、もしかしたらこの花菱氏もお縄になる可能性だってあるわけだが。
まあだが、普通の警察にも頼めないから公安にわざわざ言ったのだろうし、言われたからにはやるしかない。
この古狸でも、少なくとも日本を動かす政治家の1人ではあるのだ。国を守ることには最終的には長い目で見れば繋がるだろう。
降谷が少し席を外してる中、私は会場の隅でぼんやりと待っていた。
キナ臭い、花菱氏を遠くから監視しつつ、周りにも警戒を怠らずにいれば、誰かが近寄る気配を悟るのもすぐで。
ニヤニヤと2人の男が近づいて来て、「お一人ですか?宜しかったらご一緒しませんか」などと言ってくる。
表面上は笑顔で断りを入れるが、しつこいこの男達はどうやら食い下がる気のようだった。多分、降谷が何処かへ行ったのを見計らって声をかけて来たのだろう。
じろじろと見られるのは決していい気分ではなく、段々イライラしてくるのは仕方ない。私だって人間だ。
「喧しい。悪いが私には意中の相手がいる。失せろ」
つい、荒い口調になってしまって睨み付ける。
少しビクリとした男達は、降谷が向こうから戻って来たことにも気づいてそそくさと何処かへと退散した。いいタイミングだな。
「大丈夫か、絡まれてただろ」
「平気。丁度いいタイミングで戻って来てくれたし」
「………お前睨みつけてただろ。結構お前、怒ると眼力あるから、あまり目立つようなことするなよ」
「あー…普段怒らない分かな」
久々に怒ったのもあって、キツくなったのかもしれない。
だがいい薬にはなっただろう。多分これで、変に絡まれるようなことも無くなるはずだ。
「(しかしあの男達、後できっちりお灸を据えておくかな)」
「どうしたの降谷」
「いや別に?」
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祝100話目です〜 ドスランプ中ですがこれからもよろしくお願いします!新作の方もよろしくです
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ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか? (2022年4月22日 15時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか?? (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか?作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 番外編を読みたいのですが、パスワードがわかりません。どうすれば?…… (2018年4月21日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年12月16日 21時