96話 ページ17
・降谷視点
呼んでも未だにうんうんと唸っているAを不思議に思う。
もしかして体調でも悪いのかと思ったが、丸出しの背中は至って普通の健康人の肌色だし、ともすれば、何かに悩んでるとしか思えない。
「どうしたんだ、A」
「……いや、その、降谷。やっぱり私現場なのやめたほうが良くないかな」
「はぁ?何でだよ」
「……だ、だってさ…私の格好地味だろう?正直降谷と釣り合ってないというか」
………その発言は、場合によっては思わず勘違いというか、自惚れても仕方ない事を言ってるの、自覚してるのだろうか。
というか地味とかいう前に、そんな背中丸出しならまず地味じゃない上に露出が多いと言ってやりたい。正面の姿を見てないから何とも言えないが、それでもお前が着てるなら地味なわけはないだろう。
「……俺はまず、正面からの姿見てないからなんとも言えないぞ」
「……」
渋々と言った形で、漸くAは俺の方に振り向いた。
背中と違って正面は精々足にスリットが入ってるだけでそうでもない。それくらいには丸出しの背中のギャップが凄いなと思った。
シンプルだが、派手過ぎず地味過ぎないと言った感じじゃないだろうか。
だが、ボディラインが結構ハッキリしてるのは頂けない。これではハイエナ達が見るだろう。
…というか、正直見惚れている。
「……」
「な、なに、せめて何か言って欲しいんだけど」
「いや。……似合ってるだろ、それで行こう」
無理矢理Aの手を引いて、捜査本部を戻るべくツカツカと廊下を早足で歩く。
「お前はもう少し自分の容姿に自信を持つといい。」
「じ、自分の事は1番自覚してる!女っ気無いし」
「そういうとこが…はぁ、ほんとお前は…」
仕事の時は割と強気なのに、自分の事になると、こうやって消極的になるのだ。
着飾れば女は化けるものだと俺は知っている。本気を出した女達の化け具合はとんでもないのだ。本当に。
「綺麗だ。」
「は、」
「綺麗だと言ってるんだ。本当に地味だと思うなら、部下達にも聞いて見るといい。きっとみんな綺麗だと言うぞ」
勿論、正面を向いて、Aの方に振り向いては言えなかったが。
らしくもなく赤くなった顔を誤魔化すようにツカツカと廊下を進んでいく。
うわ情けない。俺はこんなに、初心じゃなかったはずなんだが。
ちらりと後ろを盗み見れば、下をうつむいてるから顔は良く見えなかったが、Aの耳が赤くなっているのを、俺は見逃さなかった。
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ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか? (2022年4月22日 15時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか?? (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか?作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 番外編を読みたいのですが、パスワードがわかりません。どうすれば?…… (2018年4月21日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年12月16日 21時