82話 ページ2
「どういう事だ赤井！！」
降谷が赤井さんに掴みかかったところで公安の空気が冷える。
局長室から戻ってきた私が事の経緯を説明する前に、一緒に戻ってきた赤井さんが先に説明をした。
……未だに混乱する私を見かねてのことなのだろう。その配慮は有り難かった。
「…どうも何も、今言った通りだ。2ヶ月後、Aは出向命令により2年間FBIへと行くことになった」
「お前が何か手を回したんじゃないのか！？」
「そんなことするはずないだろう。……だが、このまま君が自覚しなかったら、それも手だと考えたことはあったさ。まさか、本当に現実になるとは思ってなかったが」
「………っっ！！」
「やめろ。降谷」
殴りかかろうとした降谷を制す。
……正直混乱はまだしている。けれど、けれど私は。
「……別に秀一さんがどうとかじゃない。任務と命令なら仕方のないことだから」
「…ッ、」
「何れにせよ決まったことだよ。…2ヶ月後、私はここを発つ」
そういえば、顔を歪めた降谷は乱暴に扉を開いて何処かへと行ってしまった。緑川も降谷を追いかけて何処かへと行ってしまう。
徐々にざわざわと騒ぎ出した同僚や先輩方を横目に、自分でも言った『2ヶ月後』と言う言葉が重くのしかかった。
FBIへ出向するのが嫌と言うわけではない。
むしろキャリアアップに繋がり、任務の幅がさらに広がるなら私としては喜ばしいことだ。
(私は、どうして…)
こんなにも、こんなにもここを離れたくないと思うのか。
命令だから行きたいと思う自分と、FBIで学びたいと思う自分と、行きたくないと言う自分がいる。
胸にまたつっかかりが残っているような感じがして、思わず胸を抑える。
秀一さんが大丈夫かと顔を覗き込んできた。さっき小休憩したから、別に疲れているとかではないはずなのに。
あと１つ残っている案件が、恐らくは私がここを発つ前にやる最後の任務となるだろう。
「………仲直りも出来ずに、ここを発つのか」
距離は縮まったとは確かに感じている。
……優しくなったのも感じた。わたしを抱きしめてくれた。縋らせてくれた。縋ってもいいと言ってくれたのだ。
一度も和解出来ずに、ここを発つなんて、そんなの嫌だ。
(…本当に焦れったい奴らだな)
黙り込んでしまっていた私を見ていた秀一さんが、私を見て何かを悟ったのか私の頭を撫で始めた。
いつもだったら止めろくらいは言うけれど、今はそんな事を言う気には、ならなかった。
×××
すみません作り直しました！
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ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか？ (2022年4月22日 15時) (
レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか？？ (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか？作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 番外編を読みたいのですが、パスワードがわかりません。どうすれば？…… (2018年4月21日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥
| 作成日時：2017年12月16日 21時
