59話 ページ23
・萩原視点
眠っていた降谷はあれから少し経った後に目を覚ました。
なんでAの肩にもたれかかっているのとか、色々混乱していて慌てふためく姿は珍しくて面白かったし、全員で笑った。
……降谷とAの間には何かしらあったのだろう。
前より降谷に対して砕けた笑い方が出来るようになっていたAに、悟った。
それに心底安堵した。本当に良かったと。他の奴らもそれとなく気付いているのか、眼差しが、何となく優しい気がした。
けれど、完全に仲直りをした、と言うわけでもなさそうで。
こう言うのは本人たちの気持ちの問題だから、俺達にはどうしようもないけれど、あと少し、もう少しの気がした。
互いにきっと自覚していないのだ。互いへ向ける気持ちとか。色々。
降谷がAに対して向けている感情に、憎悪や嫌悪以外の感情がある事だって勿論知っている。
それをきっと理解してはいない。……いや、もしかしたら気付いていて気付かないフリをしているのかもしれないが。
(きっと降谷は気付くべきだったんだよなぁ)
10年前のあの日。とうに、Aが刺されて1番泣きそうだったのはお前だったのに。
その時に、気付いておくべきだったんだよ、降谷。
(……好きなくせにさ、Aの事。)
憎悪も愛も混ぜこぜになってしまったからこんなに捻くれてしまった今に至る。
嫌いなのに好きで、好きなのに嫌いで。矛盾した感情を抱えて、どうしたらいいのか分からなくて、それでも嫌いだと言い続けていた。
なあ、ずっとAを見ているお前は、いつも悲しそうで、愛おしそうな瞳をしていたよ。降谷。
途中でAが席を外した。どうやら降谷が肩にもたれかかっていたからずっと席を外せなかったようで。
花を摘みに行ったAの背中を見送る。
そうだ、降谷の事よりも先に、まずは言わなければいけないことがある。
後から携帯に連絡でも入れて全員に伝えようかとも思ったがーー、Aが、席を外した今なら丁度いいか。
「ちょっと話したいことがあるんだけど、いい?」
真剣味を声に乗せて言えば、それを察したのか、全員が耳を傾けた。
「明後日のAに、当日まで、いや、講習会が終わるまで言わないでほしい。……斎藤に言われたことなんだけどさ」
俺だけこれを知っていてもどうしようもない。
どうせ共犯者になるなら全員だ。
明後日、何かが変わればいいと言う希望を持ちながら、願う。祈るように。
「実は、」
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ちゅん(プロフ) - 番外編みたいです(;_;)パスワード知りたいです( ; ; ) (2021年3月7日 14時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
闇月 - イラストが最高で思わず保存したいと思ってしまいました! (2019年9月25日 19時) (レス) id: ceaacc411b (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - なんかもう理想すぎるストーリーが見つかってまだまだこれから頑張れる。ありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2018年4月28日 12時) (レス) id: 6434e4011a (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 蒼衣さん» こんにちは!いきなりごめんなさい…。用件は下の私のコメントと同じです。よかったら見てみてください! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 湊叶さん» こんにちは。突然すみません!パスワードなんですが、作者さんの作品一覧のページのコメントを見ると書いてありますよ!脇から失礼しました! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年10月23日 18時