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・太宰視点

あれから家に帰って来て、暫く皆と団欒しながら話したり、Aの昔話を樹君と希ちゃんがしてくれたり。
途中で眠くなったAは希ちゃんに寄り掛かって眠ってしまい、中也が敷いていた布団に、希ちゃんはAを抱き抱えて眠りに行った。暫くした後、樹君も一緒に寝るようで「お休みなさい」と一言私達に伝えて居なくなった。

「忙しない1日だったけれど、Aも楽しそうだし善かった。安吾からは特に副作用は無さそうだとは云われているし」

「だな。然し彼奴は本当に、少し目を離すと直ぐ此れだからな。もういっそ呪われてんじゃねェか?」

正直否定はし切れない。何せ、マフィアやら鼠やら、裏社会の人間と関係を持ち過ぎている。
…加えて数年前から、Aを付け狙う輩だっている。私が妨害に妨害を重ねているから、その事すらAは気付いてないだろうけど。

希ちゃん達の前では呑まなかった酒を嗜みながら、中也は半分酔いが回っているのか、今日保存したのであろうAの大量の写真を送りつけてくる。
え、何。未だあったの。最初に送って貰った時も相当な数だったけど。

「普段大人びて世話焼いている奴の子供の姿なんて珍しいからよ。俺も首領もつい夢中になって撮っちまった。」

「……君、少年趣味の気でもあったの?」

「ンな訳あるか莫ァ迦。悪く云う訳じゃなくて、あのAにも子供の頃なんてあると思ったらついな」

……云いたい事は何となく解る。
生まれた時からあの兄気質だったんじゃないかって位面倒見が良くて、優しくて、何年も何年も私を待ち続ける様な、どんなに重い物すら受け止める精神性に、時折彼の子は、子供の頃なんてあったのだろうかと。
賢かったから中身ばかりが成熟するのが早くて。だからこそあの日、樹君に何も出来なかった自分が悔しかったAは、自分の力でここまで来たのだ。

不謹慎であっても、安心したのだ。
子供の姿になったあの子に、Aもちゃんと子供として生きていた日々があったのだと。

「……そんな所に居ないでおいでよ、樹君。眠れなかったのかな?」

「………すみません。盗み聞き、みたいな事をしてしまって。」

「気にすんな。会話に入りにくかったとかだろ。別に気にしちゃいねえよ。座れ座れ」

途中から感じていた気配の先に、声を掛ける。
控え目に開いた扉から、申し訳無さそうに樹君が顔を覗かせた。
眠っていたと思っていたこの子は、如何やら目が冴えてしまって、眠れなかったらしい。

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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
- どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年2月15日 19時

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