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其れから更に幾日。
どんよりと曇った空を見上げて、妙に胸騒ぎがした。
雨が降りそうだ。傘なんて持って来て居ないから、早く家に帰ろう。
駆け足で駆けていく中、遠くから雷の音が聞こえる。
嗚呼、この分だともう雨が降るのだろう。雨が降るのと、嫌な予感を振り払うように夢中で駆け抜けた。
家に着く頃には息も絶え絶えで、ゴホゴホと咳き込む。久し振りに走った所為なのか、身体は全く付いて行けなかったようだ。
しとしとと、外から雨音が少しずつ聞こえてくる。ギリギリだったみたいだ。
靴を脱いで、着替えようと荷物を降ろし、白衣に手を掛けた瞬間に、鞄の中の携帯が電子郵便を受け取った曲が流れる。
鞄を開いて、差出人を確認したら、其れは織田さんからのものだった。
「………?」
全く連絡が取れて居なかったのに。其れとももう件の案件は落ち着いたのだろうか。
本文を開けば、其処には簡素な文で、でも織田さんらしい内容が其処には
『礼を云えてなかったな。ケェキと軽食を有難う。太宰から受け取った。直接礼を云いたかった処だが、無理そうなのでこの様な形で済まない。
太宰と、此れからも仲良くしてやって呉れ。』
本当に簡素な文だった。
ほんの数行しかない文。織田さんらしいなと普段の俺だったらきっと思うだろう。
最後のまるで貼り付けた様な文章が引っかかって、嫌な予感が更に増す。
もう仕事中だとか、そんなのは形振り構ってられなかった。只此の予感が勘違いである事を確認する為に、俺は織田さんへ電話を掛ける。
然し、幾度コールをしても出る気配は無かった。
留守電のアナウンスが流れた処で、指が最初に震えていく。
「………織田さん……?」
其れでも何か返しては呉れないかと、縋る思いで留守電を残した。
此れを聴いていたら、連絡を返して欲しい。只其れだけを。
雷が近くで鳴り始める。
俺が留守電を残した頃には、外はもう、雨雲に一面覆われて、雨が降り続けていた。
××××××
どうでもいい小噺。
タイトルがアレなので出せていないだけですが、実を言うと男主君、異能持ちではあるという設定ではあります。
この本編で出す事は無いです。何らかの違う話で出せたらなとは思いますが、多分其処まで気力が持たなそう
あくまで一般人なので出さないってのもありますが、でっぷる軸辺りだったら多分出せます
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遥(プロフ) - 勿論不快にさせた事実は変わりませんが、改めまして女狐呼びは後日修正させていただきます。公式からの呼び名がもし出たらその際はまた変えるかもしれないです。今回はお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした。 (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ららさん» 妲己、というのもよく考えたら失礼かなと思ったので追記を。前記の通りキャラを貶す意図はなく、クリスティ爵の残酷な面が垣間見える彼女の言葉一つで街を焼ける、といった権力の強さに狐であった妲己のようだ、といった自分の解釈もあります。→ (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 呼び方の方は後日修正させていただきます。コメントありがとうございました。 (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 誤解を招くようですが、クリスティ爵はとても好きです。映画で動いて声もついたのは本当にとても嬉しかったです。映画のイメージで「こう言う感じの方かな」と言ったイメージが先走ってしまって申し訳ありません。それと夢主持ち上げ、というよりはその辺の→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ららさん» といった意味で女狐呼びをさせていました。軽率にしてしまい申し訳ありません。情報が少ない方なので、私なりの解釈等も混ざってしまい、呼び方等に不快な思いをさせてしまって申し訳ないです。決してキャラを貶すために使ったものではありませんでした。→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年11月13日 18時