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ご飯も食べ終わって片付けも終え、俺はと云えば太宰君に包帯を巻いている。
結構な量を巻かなきゃいけなくて、包帯の量足りるかなと心配になったが、ギリギリ足りたようだった。
鋏で切った後、漸く太宰君に云われた通りに包帯を巻き終える。
流石に俺も、此処までの包帯は巻いた事がなかったので無駄に緊張したし、疲れた。
「よし終わり!包帯如何?きつくない?」
「調度良いよ、有難う。流石看護学生と言うだけ手慣れているね」
「流石に俺も此処までの包帯は巻いた事ねーよ。んで、太宰君如何する?」
「流石にお暇するよ。迷惑をかけた上に、ご馳走にまでなったんだ。この御礼は後日ちゃんとするよ。あと、この服も返さないとだしね」
「別に礼とか気にしなくて良いのに。それ貰って良いよ。」
お暇すると言ったので、浴室に干してある太宰君のスーツと外套を取りに行く。
まだ濡れてはいるが、其れでも此れでも乾いた方だ。濡れてるから此の儘持ち帰らせるのもな…と悩んでいたら、「そのままで大丈夫だよ」と云った。
「え、良いの?まだ濡れてるけど」
「構わないよ。寧ろ世話になったね」
「俺は久しぶりに誰かと飯食えたから嬉しかったけどね」
玄関まで行くと、太宰君は「此処までで良い」と云ったので、サンダルを履こうと思った足は其処で止まった。
「大丈夫?外暗いし、途中までか、家まで送ってくよ」
「善いよ。其処まで面倒かける訳にもいかないからね。」
扉を開けて、太宰君が背を向けた時、か細い声で何かを云っているのが聞こえる。
けれどもあまりにもか細すぎて、よく聞き取れなかった。
「……亦、君のご飯が食べてみたい」
やっと聞き取れたその声は何処か恥ずかしさを帯びたような声色だった。
顔は太宰君は扉の方を向いているので見えないが、何とも言えない顔をしているのではないかと思う。
思わずふは、と笑ってしまった。
「いーよいーよ。おいでよ。あの川通るたびに絶対太宰君の事思い出すだろうし、俺のご飯で良ければいつでも食べにおいで」
「……君、本当警戒心というものは無いのかい」
「俺のご飯お代わりした人相手に今更」
本当に恥ずかしくなったのか、遮るように太宰君は「亦来るよ」と捨て台詞を吐いて玄関から出て行った。
気ィつけろよと云った声はきっと彼には聞こえなかっただろう。
如何やら、俺は少し不思議な人とお知り合いになったようだ。
×××××
少し目を離した隙にランキング入りしてる…有難うございます!
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零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです! (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです!! (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです! (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか? (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年9月28日 16時