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バイト終わりの夜。
明日は学校が休みで良かったものの、バイトが終わる頃にはすっかり夜も更けてしまって、何かと物騒なこのヨコハマでは何かあるか分からないので早足で帰っていたところだった。
何か鈍い音と小さい咳の様な音が聞こえて、路地裏へと続く真っ暗なその道に目を凝らした。
「………」
此れは行ってはいけない場所だ、と本能が云うものの、僅かに聞こえた咳の様な音には聞き覚えがあった。
太宰君の後ろに控えめに立っていた細身の少年。あの少年の咳だった様に思える。
見た感じがどう見ても病弱そうだったあの少年の咳の仕方が気掛かりだった。肺を病んでいる上に、恐らくは怪我をしていたんだろうし、若しかしたらこの真っ暗な中、1人苦しんでいるのかもしれない。
危ない場所であると分かっていても、看護学生の身分とは云え、見過ごす事は出来なかった。聞き間違いだったらそれでいい。そうであるならさっさと帰ろう。
細い道を恐る恐る歩いていけば、また鈍い音がする。
何かを殴る様な音。厭な予感がして冷や汗が流れ落ちた。足が僅かに震える。それでも足を止める事は出来ずに進んで行く。
控えめだった小さな咳は近付くにつれてどんどん大きなものになって行く。
否、違う。この咳の仕方、肺を病んでいるだけの物じゃない。
真逆、と厭な予感がしても足は駆け出した。
道を出れば急に開けた場所に出る。そこには小さな廃工場の跡地の様なものがあった。
廃工場だから窓も割れていたり、扉も壊れていたりと、夜でもその外観の襤褸さが分かるほどだ。
…今夜は月の光が強い。それも有った。
だからこそ、見えたのだ。
蹲る様に咳をしている、あの時の少年に向けて銃を向けている太宰君の姿が。
ひゅ、と厭な呼吸音が口から吐き出された。
何をしている。如何してあの子は倒れているの、如何して太宰君は銃なんか持っているんだ。
如何して其れを、その子に向けているんだ。
「………太宰、君」
本当に、本当に小さな声だった。
だが、其の声も太宰君は拾ったらしく、其の光景を見つめている俺と瞳が合う。
「……え…？」
僅かに動揺で揺れた太宰君の瞳と、俺の瞳がかち合った。
震える足を叱咤して2人の元へと近寄る。太宰君に撃たれるかもしれない、なんて考えはすっかり抜け落ちていた。
地面に崩れ落ちている少年を何とかしようとする事と、太宰君に、何をしているのと尋ねる為だけに、俺はこの日、初めて、たったこの1日だけ、彼等の秘密に踏み込んだのだ。
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零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (
レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです！ (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです！！ (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです！ (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか？ (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥
| 作成日時：2018年9月28日 16時
