検索窓
今日:11 hit、昨日:92 hit、合計:1,037,508 hit

10 ページ11

・太宰視点

「うっっっわすっげ…めっちゃ切れるこれ…」

「だろう?此れで今度から存分に料理してくれ給えよ」

「……此れ本当に善いの?」

「私が善いって云っているのだから、善いのだよ」

野菜を手際良く切る渡瀬君の横に立ちながら見学する。
誰かが料理を作る横で立って見ているなんてしたこと無かったし、というより私も何で見学しているのか分からない。

……たった一度ご馳走になっただけで、私は随分と彼の事を気に入ってしまったのだと、芥川君が見たら絶句しそうな事ではある。

織田作とは別のベクトルで彼の事は何だか気に入ってしまったのだ。
マフィアの中で唯一と言っても善いほど、私のいう事を莫迦正直かつ、大真面目に聞いてくれる織田作は私の大事な友人だけれど、渡瀬君は、例えるならば、疲れたところに駆け込みたくなる休憩所、のような存在だろうか。

私でも疲れる事は勿論あるのだ。
そんな時は渡瀬君のご飯食べたいな、とこの会えない数週間の間で何度思っただろうか。
縁遠いと思っていた、こういう平和な日常を垣間見せてくれる彼が、私には酷く心地良かったのかもしれない。

「私の友人が食べる咖喱、 ほんっとうに辛いのだよ。」

「嗚呼、だから甘口のルーなんて買って来たんだな…」

「市販に売ってあるルーなんて、友人からしたら全部『甘い』らしいのだよ。」

「その友人さん、一体どんな味覚してるんだ?」

まあ織田作なら好物であるのなら甘口でも辛口でも食べるだろうけれど。
…織田作なら彼に会わせても善いかもしれない。織田作も素朴だけれど、美味しい彼の料理や、彼の人柄はきっと気に入ってくれるだろう。

けれど、此れ以上マフィアに関わらせるのは…、と思う自分がいる。自分がマフィアの幹部だというのに、彼が何も聞かない事を良いことに、それを利用して此処に来ている。




………君は、私の事をマフィアだと知ったら、どんな反応をするのだろう。




怖がるだろうな、と思いながら、それを分かっているから素性を明かさない都合のいい自分を何処か気持ち悪いと思った。

11→←09



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (756 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1396人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです! (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです!! (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです! (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか? (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年9月28日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。