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「やったー!ねえメロさんどんなお願いでも聞いてくれるんだよね?」
キラキラした目でこちらを見つめてくるA。余程欲しいものでもあるのだろう。
メ「…ああ、男に二言はねぇよ。ほら早く言え。高くなけりゃなんでも買ってやるよ」
俺がそう言うと途端にキョロキョロしだすA。
「えっと、お兄ちゃん達今出かけてるよね?」
メ「ん?ああ、おついち迎えに行くっつってさっき出てったな。2人には言えないモンか?」
「え、まあ、うん…?」
メ「なんだよ、早く言えよ」
なかなか言い出さないAをつい怪訝な目で見てしまう。
「メロさん……わ、私の、彼氏になって!」
…え?今なんて?
俺はAの言葉が瞬時に理解できず固まってしまう。
「…メロさん?や、やっぱり嫌だった?……ごめんなさい、今の忘れて?」
固まったままの俺を見て悲しそうな顔をするA。それを否定しようと俺はなんとか声を出す。
メ「いやそうじゃなくて、びっくりして」
まさかAにそんなこと言われるなんて。
俺も兄弟達のような兄の1人としてしか見られてないと思ってたから。
本当は出会ってから、俺はずっとAに惹かれていたから。
メ「えっと…俺でよければ。」
嬉しいのになんだか恥ずかしくて、ついぶっきらぼうな返事をしてしまう。
目の前のAはパアッと明るい表情になり、俺に抱きついた。
「ほんと?!私ね、初めてメロさんに会った時、すっごい怖い人だと思ったの。お兄ちゃん達には秋田のヤンキーが来るって聞かされてたし。」
メ「…おう」
「でもすっごく優しい人だってすぐに気づいて、それからはずっとメロさんのことが気になって仕方なかったの。」
メ「…そう」
「だからデートしてもらおうと思って勝負しかけて、でもなかなか勝てなくて…それでも今日は絶対に気持ち伝えたくてお兄ちゃん達に特訓してもらったの」
なにそれ…可愛すぎじゃね?
俺は俺に抱きついていたAを抱きしめた。チビなこいつが潰れないくらいに。
「メ、メロさん?」
びっくりしているAの耳元にぼそっと一言だけ。
メ「俺もずっと好きだった」
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このあと帰ってきたゲス達にその姿を見られ散々からかわれた。
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あとがき
7作目はメロさんとのお話。自分に自信がなくて勝負でしか気持ちを伝えられない主人公ちゃんと、兄としか思われてないと思っていたメロさん。
メロさんは遠距離でも大切にしてくれそうですね
それではまた次のお話で。
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作者名:shirö | 作成日時:2018年7月9日 23時