猛毒*48* ページ6
丸一日が過ぎ、予定では今日、島に上陸する。
久しぶりの海面浮上に気分が上がるかと思いきや、なんだか胸がモヤッとしている。
理由はきっと一昨日の事。あの時のキャプテンはどこか思い詰めているような、何かが引っかかって取れないような、そんな顔をしていた。
それからもずっと様子が変で、何かしてしまったのかと不安になるけど、つい怖がってしまい聞くに聞けず…。昨日はあまり生きた心地がしなかった。
『はぁ…』
沈んでいる心の空気を入れ替えようと、私は甲板へ向かう。
空はどんよりと曇っており、嫌な湿気が充満していた。
鼻から外気を取り入れれば雨の匂いが鼻腔を擽る。
雨は嫌いじゃないが、何だか今は疎ましい。
「雨降りそうだね」
『イッカク…うん』
隣に立ったイッカクが空を見上げながらそう言った。
「…嫌な天気だな」
『!』
「キャプテン!おはようございます」
背後の扉から出てきたキャプテンは、開口一番顔を顰めた。
その目元にはいつもより濃ゆい隈が刻まれている。昨夜の寝付きが悪かったのかな。
「A」
『はい』
「島に着いたら、シャチとペンギンを連れて下見に行ってこい。何かあれば電伝虫で知らせろ。俺は少し部屋に篭もる。誰も入れるな」
『…アイアイ、キャプテン』
キャプテンはそれだけ伝えると身を翻してさっさと船内へ消えてしまう。
…一度も顔、見てくれなかったな。
やっぱり私何かしちゃったのかな…。それなら謝りたいけど、理由も分からず謝ったんじゃキャプテン逆に怒るよね…。
はぁ、どうしよ。
「A、キャプテンと喧嘩した?」
『え?しないよ、喧嘩なんて…できないし、したくない』
「う〜ん…そっか…。キャプテンも素直に言わないタイプだしね。
私でよければいつでも相談してよ!」
『え?う、うん。ありがとう』
イッカクは私の肩をぽん、と叩いて自分の仕事へ戻って言った。
…キャプテンと喧嘩、か。
したことないな。しそうになったこともないし。
でも、イッカクの言い方だと喧嘩の種は既にある様に思える。
やっぱり私なんかしちゃってるのか。キャプテンの隈もそのせいだったりして。
一昨日はやっと進めたと思ったのに。
…サンジさんに相談、は駄目だよね。流石にしすぎ。あの人も暇じゃないんだ。
それに、私がちゃんと向き合わないと。
「…島が見えてきたよ!」
『!総員停泊準備!!』
目の前に立ち塞がる島には、暗い霧がかかっていた。
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凛月のさぶ。(プロフ) - Nakoさん» 返信遅れてすみません!コメントありがとうございます!良かったです!ぜひ楽しんでください😊 (7月1日 14時) (レス) id: e8fb34f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - すみません。見られました! (7月1日 14時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - 中編集がみらません。年齢制限の変更はどうやりますか?楽しくて何回も読んでいます😊 (7月1日 13時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - aimerさん» レスを付け忘れていました…。また不明点などありましたらお気軽にお声がけ下さい! (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - コメントありがとうございます!中編集の方はアプリでは閲覧できませんので、ウェブから占ツクのサイトへアクセスして頂いて、それでも見つからない場合は設定から年齢制限の変更が必要になります。探して頂いてありがとうございます…中編集でお待ちしております。😊 (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛月 | 作成日時:2023年2月15日 1時