猛毒*83* ページ42
『嫌、だなんて思ってない…。今までも、ずっと』
「……なら何故止める」
一度深呼吸をしてから、しっかりと目を見つめて言った。
『…私が、望んでしまったから』
「……もっと分かるように言え」
『あのね、今までは突然関係が変わってしまったことが恥ずかしくて、急にローが今まで以上にかっこよく思えて、好きで好きで堪らなくて苦しくて、居たたまれなくて逃げてたの…。
それを分かろうとしてくれていたローの優しさに甘えて……傷つけてしまった。』
ごめんなさい、と謝るとローは目を見開いた。
『でも、でもね、今はそれよりもずっと…望んでるの。
私の為に疲れて帰ってきたローに自分勝手すぎることを』
言わなきゃいけないと分かっているのに。
言ったところできっと怒られることは無いと分かっているのに。
自分の中の勝手な罪悪感が唇を震わせる。
そんな私を見兼ねてか、ローは握っていた私の手の甲にキスを落として言った。
「言え。お前の望みは全て知りたい。俺に出来る事なら全て叶る」
『…っ』
きゅうぅ、と胸が締め付けられた。
駄目だ、好きすぎて、我慢なんか出来ない。
この人を前にして、私は我儘を言わない良い子じゃ居られない。
だって、この人がそれを望んでるから。
私だって、望みを知りたいし叶えたいよ…。
なんて狡い人なんだろう。
『あの、私……わたし、ね』
黙って続きの言葉を待つローに、顔がどんどん熱くなる。
『あなた、に』
「…俺に、何だ」
優しい声音。言って。言っていいんだよ。
そう思わせてくれる音だった。
『_____________キス、してほしいの』
息を吸い、思わず目を閉じて言い切った言葉。
きっと恋人同士なら当たり前の言葉と行為。
私は恥ずかしさを誤魔化すように捲し立てた。
『でっ、でもローは疲れてる訳だから、休んで欲しいなって思って…
これ以上私のわがままを聞いてもらうわけにはいかないと思って、それでダメダメって自分を抑えてる時に丁度ローがキスしようとしてくるからっ…驚いて止めちゃったのごめんなさい!』
ローは何も言わずに黙りこくっている。
それに焦った私は更に色々と言った気がするが、正直何を話したのか覚えていない。
気付けば唇はローの唇で塞がれていたし、押し倒されて身動きも取れなかった。
ただ、私に触れるローの手が熱く
視界に映った耳は赤く染っていた。
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凛月のさぶ。(プロフ) - Nakoさん» 返信遅れてすみません!コメントありがとうございます!良かったです!ぜひ楽しんでください😊 (7月1日 14時) (レス) id: e8fb34f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - すみません。見られました! (7月1日 14時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - 中編集がみらません。年齢制限の変更はどうやりますか?楽しくて何回も読んでいます😊 (7月1日 13時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - aimerさん» レスを付け忘れていました…。また不明点などありましたらお気軽にお声がけ下さい! (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - コメントありがとうございます!中編集の方はアプリでは閲覧できませんので、ウェブから占ツクのサイトへアクセスして頂いて、それでも見つからない場合は設定から年齢制限の変更が必要になります。探して頂いてありがとうございます…中編集でお待ちしております。😊 (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛月 | 作成日時:2023年2月15日 1時