初めての一目惚れ 2 【及川徹】

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「久しぶり…荷物持つよ」



久しぶりに会った及川さんは

高校生の時よりさらにカッコよくなっていて

わたしの手から荷物を取ると

先に前を歩いていく。


　

隣を歩いてくれない現実を

もう昔とは違うことを

改めて感じて胸が苦しくなる。




空港を出ると眩しい光に、

目を閉じそうになって先に歩いていく及川さんを

見失わないようにと必死に追いかけた。




アルゼンチンは日本と全て真逆で

こっちがお昼の12時なら日本は夜中の0時で

季節も逆だから今は夏。



空港の前に止まっているタクシーに乗り込み、

運転手さんに流暢なスペイン語で何かを話して

多分行き先を伝えてるんだろうと考えながら

運転手さんが陽気に返事するとタクシーは走り出す。



走り出してから私たちの会話は一切なくて



…怒ってるのかな

そう思ってちらっと横を見ても

及川さんはただ肘をついて外の景色を眺めてる。



怒るのも無理ない

自分が振った元カノが急に現れたんだから。


そんなことを思いながらわたしはうつむくと


Aは


と急に声をかけられて

横を見ても及川さんは外の景色を眺めながら



「…いつから岩ちゃんの親戚になったのさ」



そうだ、あの時の電話で親戚の設定で

約束したんだった。


『…1週間前に親戚にしてもらいました』


「…そう」


それ以降、目的地に着くまで会話はなかった。



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