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それから2-0で及川さんのチームが勝って、

最後の一点が決まった時

わたしは崩れ落ちるように座った。


『勝った…よかった…』


やっぱり試合中の及川さんはキラキラして見える。


試合が終わればスタンドへと挨拶に来る選手の
みなさんに盛大な拍手が贈られ

今日はこの一試合だけだから、

わたしは家へと帰って、及川さんに連絡を入れると

夜の18時過ぎに携帯が鳴った。
 

「会いたい」



その言葉を見てわたしが外へと飛び出せば、
『及川さん、おめでとうございます!』


「応援ありがとう」


『うちあがってください』


家に入り、

会う度お母さんに捕まるも笑顔で挨拶する

及川さんに申し訳なくなる。


「ほんとAのお母さん面白いよね」


『いつも言ってます、

及川さんが帰ったあと今日もかっこよかったって!』


「気に入ってもらって何より」


その部屋へと行き、

及川さんはあー疲れたと言いながら、抱きしめてくる


「…ちょっと充電させて」


私も腕を回して及川さんの背中をポンポンすると


「明日さ、俺がすっっごく嫌な相手と試合なの」


『IHのときの?』


IH予選の決勝で当たった絶対に勝ちたいって
言ってた人なんだろうか。確か牛島さん。


「それとは別で
中学の後輩のトビオちゃんって子。

昔、一回その後輩を殴りかけた」


『…殴りかけた?』


普段の及川さんからは全く想像できなくて、
「何もかも焦って、

どれだけ努力しても立ち塞がる存在に

俺にはなれない天才にどうにかしてたんだと思う」


及川さんがすごく努力してるのは知ってる。

天才と秀才、その違いは一体何なんだろうか。


毎日遅くまで練習してるのに、

夢が叶わない。それがどれだけ辛いことか
考えるだけで胸が痛くなる。



「だけど、岩ちゃんに言われた一言があって

バレーは6人で強い方が強い。

だから俺たちは負けないって思えるようになった」



頑張っている人は自分と孤独な戦いをしていて、

この努力は報われるのか

認めてもらえるのだろうか

結果を出すまでずっとずっと戦い続ける。

 

途中で不安になって投げ出す人が多い中、

一度も諦めずに頑張る及川さんは本当に凄い。



『及川さん、私はずっと味方ですし応援してます』


そういうと及川さんは腕を離して、


「ありがとう、俺もずっとAの味方だよ。

これから先もずっと」


私の頭を撫でながら微笑んでくれる及川さんに

私は頷いた。



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さ。 - めっちゃ面白かったです!! (2020年6月13日 1時) (レス) id: 8674ff81bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mai | 作成日時:2020年5月20日 20時

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