元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

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月曜日の朝、起きてもひと気を感じず


悟さんは出張からまだ帰ってきていないらしい。
　


１人朝ごはんを食べて、

伊地知さんが迎えに来てくれたら

誰もいない部屋に行ってきますと呟く。
　

　

携帯の日付を見て


『…今日で半年』

　
もう少しで離婚して、今日みたいな朝が

当たり前に変わることを実感した。

　
　

いつも通り仕事を終え、地下の駐車場へ行けば

なぜか悟さんの車が停まっていて、

急いで駆け寄ると悟さんと目が合い

車から出ておかえりと微笑んでくれる。
　
　



『悟さんもおかえりなさい。

…今日、伊地知さんじゃないんですか？』

　


定時に上がったし、

この時間は伊地知さんが来てくれる約束なのに…


　

「今日は行きたいところがあって」

　
　

そう言われた瞬間、頭によぎるのは区役所。


もしかしたら今日、

離婚届を出しに行くのかもしれない。

　

ここで嫌だと言っても結果は変わらないだろうから


その言葉に大人しく頷いて助手席に座った。



『ネックレスありがとうございました』

　

一応連絡でお礼を伝えていたけれど

やっぱり悟さんの顔を見れば伝えたくなってしまう。



「見せて？」


悟さんは私の首元に手を伸ばすと

ネックレスを手に微笑んだ。



「似合ってる、可愛いね」



彼は人を喜ばせるのも、

好きにさせるのもやっぱり上手で


胸が痛くなるのを感じながら

わたしも出来る限り笑って悟さんを見つめる。



車を走らせて、悟さんは近くの駐車場に停めると

ここから目的地まで歩くよう私を促した。

　

今回の出張の話を聞きながら歩いていれば

あっという間に着いたらしく

　

『ここは…？』
　


目の前に立つ一軒家に

表札を見ても心当たりがなくて


悟さんはインターホンを押すと

中から出てきたおじいさんと仲良さそうに話す。

　

「ああ、君が噂の…！」


『はじめまして…五条 Aです』

　

頭によぎる離婚の文字に、

五条と名乗っていいのか一瞬考えてしまって

挨拶をすれば優しそうなおじいさんが

ドアを開けて中に声をかけると



中から歩いてくる数匹の猫を見て

私は泣きそうになる。
　


『シェリー…！』
　


しゃがんで手を伸ばせば、

シェリーは鳴きながら私の手に頬を擦り付けた。

　

悟さんもしゃがみ込んでシェリーの頭を撫でると



「あれからここの猫と仲良くなって

子どもを産んでる」

　
と教えてくれた。




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