【イナGO】stay foolish 3

思い出させて ページ12

『恋の好きの気持ちは分かるのに、なれない、思えない、怖いの』




『小さい頃のことそんなに気にするなんてバカだって言うこと分かってる』




『でも、自分が好きになるとまた誰かから取っちゃうんじゃないかって、誰かが不幸になって私のせいだって思われるんじゃないかって……』





『結局私は、いつも自分のことばっかり』





自分の不甲斐なさと過去のことを思い出して手が震える






誰か教えて







『京介、恋って何？』





自分でも分かるぐらい怯えた顔で京介に聞く。できればこんな姿誰にも見られたくなかった。





｢……俺も、それがなにかあまり分からない。こんな気持ちになったのはお前が初めてだ。｣





｢ただ、Aが誰かに取られると思うと、許せない。恋なんて結局自分を優先するものなんだよ｣






｢だからお前はさっき自分が悪者みたいに喋ったが、本当に恋すると他の人のことを考えられなくなるもんなんだ｣





｢多分それが普通で、それが好きってことじゃないのか｣















｢少なくとも俺は、他の奴らの気持ちなんて考えられないぐらいお前のことが好きだ｣





京介は取り乱した私を宥めるように優しく話してくれた




かつて私は京介がこんなに優しい瞳をしているのを見たことがなかったかもしれない。




そろそろ自分も恋に、好きに向き合わなければならない








そう思い、いつかの太陽の言葉を思い出す。生意気な言葉だけど許してほしい







『じゃあ、』





『私に好きを思い出させるぐらい、他の人のことが考えられなくなるぐらい、私を好きにさせて』






我ながら上から目線なことを言っていると思うが、雨と一緒に流してほしい。私が放った言葉に対して京介は不敵な笑みを浮かべた。







｢望むところだ｣







話し終わった頃には雨はやんでいて、すっかり天気は晴れていた





｢これからは容赦しないぞ｣



『身構えとくね』

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