16 Higashihama* ページ4
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この年にして久しぶりに恋をした
今まで野球ばっかで出会いが無い
そう思ってたのは間違いだったらしく
意外と身近なところに運命の人はいたりなんかして
「巨さん、肩…冷やします？」
「よろしく」
大人しくて真面目で静かなトレーナー
仕事に対してとにかくひたむきで
選手への気遣いがよく出来るいい子
「あ、巨さんまたAに作ってもらって〜！」
「Aが聞いてきてくれたから」
「巨さんばっか。好きなん？」
「千賀うるさい」
「俺だけあたり強い…」
俺は好きだけど
なんて言えるはずもないよなぁ
ましてや千賀の前だし
同級生なこともあって割と仲良しな2人
俺には見せないような裏の顔もあるらしいけど
いいよな、同じ年に生まれただけで仲良くなれて
「拓也とも仲良いよね」
「あそこ付き合ってますよ」
「まじで？」
「嘘」
「お前なぁ…」
俺の気持ちを知っておきながら
そんな嘘をつくのは流石にひどすぎないか
心臓に悪い。というか悪過ぎる
.
「お疲れさまでした〜」
「お疲れ〜」
ロッカールームを出て駐車場に向かう途中
いつものことだけど拓也と話してるA
今日はいつになく柄でもなく嫉妬なんかして
嫌そうな顔して通り過ぎてやろう
なんてどうせ俺のことも見てないのに
変な意地みたいなもんを張って歩くことにした
けど、それは俺に話しかけてきた
可愛い可愛いAのせいで叶わなくって、
「巨さ、」
「ん？」
まだ言い終わってないのに返事をしちゃう
年上のくせにこの余裕の無さ
かっこなんかつけれるのはまだ遠い話らしい
ほら、って拓也が促すと
それでお役御免なのかすぐにどっか行った
「巨さん…」
「うん」
その先の言葉なんか
俺の口で塞いで聞こえなかった
だって…"す"までは聞こえてたんだよ
Aに先越されてたまるかって
「好きだよ」
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作者名：ひー | 作成日時：2017年2月4日 2時
