８０ ページ33
「紬ーーーーー！！」
柚葉の甲高い悲鳴が教会に響き渡る。
急に現れた金髪の奴に、三ツ谷くんを庇って鉄パイプでぶん殴られた紬ちゃん。
「紬……あぁっ…八戒どうしよう………」
倒れた紬ちゃんを抱き寄せながら震える柚葉。その目には涙が滲んでいた。
「紬が起きないの…！！」
「当たり前だ。思いっきりぶん殴った。本当は三ツ谷を狙ってたんだがな。」
三ツ谷くんは………
「………なんで？」
呆然としながらポロリとこぼした。
その姿は、あまりにも脆くて、弱くて、今にも潰れてしまいそうで。
俺らを怒らせるには十分すぎる光景だった。
「「何してくれちゃってんだコノヤロぉぉ！！！」」
「ハハハハ！かかってこい！！クソガキども！！」
黒龍！！
「「絶ッ対ェ許さねぇぞコラぁあ！！」」
俺と千冬が黒龍に突っ込んで行こうとしたその時。
「待って。」
そんなに大きな声じゃない。それなのに、その制止を呼びかける声は俺らが聞こえてほしいと願ったソレだった。
「生きてるから……ッデェ…」
頭を押さえ、顔を歪めながらゆっくりと起き上がった紬ちゃん。生きてた！！
だがすぐにボスンっと柚葉に倒れ込んでしまう。
もともと大寿に殴られまくって動いていいモンじゃなかったのに……ッ！
「紬……生きてる………？」
震えるその手を、紬ちゃんの頬に伸ばし触れる三ツ谷くん。
紬ちゃんはそんな三ツ谷くんを唐突にグイッと引き寄せ、自分の胸に埋めさせた。
「この通り、心臓が音鳴ってるよ。ちゃんと生きてる。」
「……良かった。」
「私も、アンタがアレで殴られずにすんで良かったよ。」
無事で良かった、と三ツ谷くんの頭を優しく撫でる紬ちゃん。
顔は見えないが、三ツ谷くんの嗚咽が聞こえてきた。
弱々しく、『ごめん』と繰り返す三ツ谷くん。
「………私たちの代わりに、大寿ぶっ倒して。」
それでチャラにしよ
ギュッと自分の拳に力を入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 414人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月3日 17時) (
レス) @page43 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、八戒固まった、このシーン好き！ (2022年11月6日 19時) (レス) @page18 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、これって、あの短編にあったシーン！ (2022年11月3日 13時) (レス) @page11 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 場地さんそのセリフ！！！夢主、鈍感だよって、ハロウィンのは大泣き場面やぁ…… (2022年10月30日 22時) (レス) @page7 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫缶(プロフ) - 違う！そういう意味じゃない！(多分） (2022年10月30日 21時) (レス) @page7 id: 926dc0c43f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2022年10月28日 16時
