初期設定2 ページ15
スマホだ。だからなんで。
そんなツッコミは飲み込んで、彼がグルッペンが渡してきた理由を考えてみる。
外に出る機会があるかもしれないから？
また、倒れた時に助けを呼べるように？
でもそれらは、貰ったインカムで補えるのでは？
｢うん、Aが悩む理由はだいたい察するわ。そりゃそうよな、俺もなんでって聞いたぐらいやし｣
どうやら表情に出ていたようだ。トントンはそんな私を見て、笑っている。
｢いや、だって…私は客人ですよね…？｣
｢いや、うん。俺もそう思ってるつもりやったんやけど、なんか知らんうちにグルさんが相当キミのこと気に入ったみたいで…。知らんうちにポンポンあいつの中で色々決めとったみたいやわ…｣
ほんま自分勝手やな、と苦笑いを浮かべている。
しかし、彼はそれに反対はしていなようである。
まるで振り回されるのには慣れている、とでも言うかのように。
｢何を気に入ったというのですか…。私何も出来ませんよ…｣
｢そこが不思議やねん。キミは普通の女の子や。…まあ、アイツの見る目は外れないからな…きっと、なにか見いだしたんやろな｣
トントンは話しながら箱の中を漁り、説明書を取り出す。
それを手渡され、表紙を見る。
書かれた文字は日本語。読める。
｢だいたいはそれ見ればわかると思うけど、実際やってみた方がキミにはいいやろ？｣
｢多分、使い方わかる気がします｣
そう言うと驚いたような顔をされる。
｢ホンマか？君んところにもこういうのあったんか？｣
｢というか、ほとんど形状一緒ですね。驚くべき一致です｣
｢はえ〜…、凄いな…｣
どうやら感心しきっている。
じゃあ…、と電源の点け方から色々と確認を始める。
確認すればするほど、使い方や用途が全く一緒だということが分かる。
｢やっぱ、実際にやってみるんが1番早かったな｣
とりあえず連絡先として、グルッペンとトントンのもののみが登録された。
ちらりと時計を見やるトントン。
｢…っと、そうや、俺このあと用事があったんやった。スマンな。時間取らせてしまって。何かわからないことがあれば、インカムでもそれでも好きな方で聞いてくれ｣
そう言うと、邪魔したなと言って部屋をあとにした。
再び1人になる。
静かになった部屋にいると、再び眠気が襲ってくる。
寝よう。まだ昼には少し時間もある。アラーム機能もあるし、それ使って昼食時に起きれるようにしよう。
ポチポチと設定をして、ベッドに飛び込む。
すう、と目を閉じて眠りにつく。
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月3日 14時
